「耳目を集める」とは
「耳目」とは
「耳目」には3種類の意味があります。
- 耳と目。つまりは見聞きすること。
- 見聞きして情報を集める人。スパイのような人たちです。
- 人々の注意や関心。
「耳目を集める」の「耳目」は3の注意や関心です。
「耳目を集める」とは
「耳目を集める」とは人々の注意や関心を引き付ける、世間に注目されることです。みんなの視線が集まる先、みんなが耳を傾ける相手ということですね。
「耳目を集める」自体には良い意味も悪い意味もありません。ただ「注目されている」だけです。言い換えれば「ニュースになっている」ようなものです。
単に注目されるだけでなく、不特定多数の人の関心を引く状態になって初めて「耳目を集める」と言います。したがって、ある業界内部だけの関心や個人の興味だけでは「耳目を集める」とは言いません。
「耳目を集める」の使い方
「耳目を集める」は、事件や出来事に使うことが多いのですが、何かニュースになるようなことをした人であれば、人に対しても使うことができます。
- 近年最悪の国際問題として国内だけでなく世界中の耳目を集めている。
- 彼は令和最初の凶悪犯として耳目を集めている。
- 今でこそ耳目を集めるスーパースターだが、若いうちはひどいものだった。
「耳目を集める」の類義語
日の目を見る
「日の目を見る」とは、今まで知られていなかったものが注目されるようになるという意味です。
着想やアイデアは良かったのに、予算の都合や政治的な理由で表舞台に出ていないものは、意外とあるものです。そういったものが世間に知られるようになることを「日の目を見る」と言います。
また、物だけでなく人にも使います。能力はあるはずなのにそれが評価されない不遇な人もまたよくいるものです。そういった人が認められ、評価されるようになることも「日の目を見る」と言います。
光が当たる
「光が当たる」もまた、世間に評価されるという意味で使われます。
光には色々な意味がありますが、ここでは注目や関心のことです。優れていて目立つことを「光を放つ」と言いますよね。光り輝いているものは目立ちます。自分から光っていなくても、光を当てられたら目立つでしょう。スポットライトが当たっているようなイメージですね。
反対に、表に出てこないで注目されないことを「陰に隠れる」と言います。
世を騒がす
「世を騒がす」とは世間を動揺させる、乱れさせるという意味です。良い意味で注目される場合には使いません。問題を起こしたり犯罪に手を染めたりして、世間を不安にさせることに対して使います。「世を乱す」とも言えます。
「耳目」の付くことわざ・慣用句
耳目を驚かす
「耳目を驚かす」は世間を驚かせることです。良くも悪くも世間に衝撃を与えるようなことを成し遂げることに使われます。良いことであれば、世紀の大発見や前人未踏の偉業など。悪いことであれば、殺人事件や大規模な汚職など。
信じられないほどの衝撃という点では、「目を疑う」や「耳を疑う」ともつながりがありますね。見たものや聞いたものが信じられない程衝撃的であったり不思議だったりするという意味です。
耳目をそばだてる
「耳目をそばだてる」とは注意を向けることです。情報を逃さないように、目を凝らして耳を澄ませる。集中して感覚を研ぎ澄ませるという意味で使われます。
この言葉は比較的新しいもののようで、基本的には「耳をそばだてる」と言われていたようです。実際、大抵の辞典や辞書では「耳をそばだてる」は載っていますが「耳目をそばだてる」とは書かれていないのです。
とはいえ、「そばだてる」とは目や耳の感覚を研ぎ澄ませることです。「耳目をそばだてる」は、新しい表現ではあっても間違いとまでは言えないでしょう。