「なにげに」の意味
「なにげに」には主に3つの意味があります。
「なにげに」の意味①理由もなく
「なにげに」には「特に理由もなく」という意味があります。特に理由もなく何かを見たり、行動したりするときに「なにげに」を使います。
【例文】
- なにげに鏡を見ると
- なにげにポッケに手を突っ込む
「なにげに」の意味②さりげなく・気づかれないように
「なにげに」には「さりげなく」や「気づかれないように」「気づかないうちに」という意味もあります。
【例文】
- 撮影の時は写ってないと思ってたけど、写真見たらなにげに写り込んでる。
- 会話の中にさ、なにげに悪口挟んでない?
「なにげに」の意味③意外に
「なにげに」には「意外に、意外と」という意味もあります。「○○さんってなにげに××ですよね」というような使い方をします。「実は、意外と初めて○○する」という使い方が多いです。
【例文】
- この会社に勤めて結構経つけど、制服着るのはなにげに初めてなんだよね。
- 先輩ってなにげにお酒強いですね。
「なにげに」の意味のまとめ
このように見ていくと、「なにげに」には「○○を感じられないけれど」というニュアンスがあることがわかります。
- 特に理由を感じない⇒「理由もなく、なんとなく」
- 自分が感じていない⇒「気づかないうちに」
- 他人に感じられないように⇒「気づかれないように」
- 「イメージから実像が感じられない」⇒「意外に」
辞書で調べると、「なにげに」は「理由もなく」が主要な意味として書かれることが多いです。しかし、ネットでは「意外と初めて」という意味で使われることが多い傾向にあります。
「なにげに」の語源
「なにげに」は「何気ない」という言葉が変化したものです。「何気ない」は「特に理由もなく、なんとなく」という意味です。
辞書によっては「『なにげに』は『何気ない』のまちがった言い方」として扱うものもあります。では、「何気ない」はどこからきた言葉なのでしょうか。
一見、「何気」と「ない」を組み合わせた言葉のように見えます。しかし、ほとんどの辞書に「何気」という単独での言葉は収録されておらず、「何気」を収録していたとしても、「『何気ない』という言葉の一部分」という紹介をされています。
「何気」という言葉があって「何気ない」が生まれたのではなく、「何気ない」という言葉の方が先なのです。では、「何気ない」の語源は何なのでしょうか。
「何気ない」の語源
「何気ない」の語源ははっきりとはわかっていませんが、「なにがなし」という言葉があり、意味も「何気ない」と同じであるため、この「なにがなし」が「なにげない」に変化した可能性が高いと言われています。
「なにがなし」はさらに語源をたどると、「何彼無し(なにかなし)」という言葉でした。この「何彼(なにか)」とは、「何かとお世話になっています」「何かにつけて」の「何か」と同じもので、具体例をあげずに漠然と言う時に使う言葉です。
そこから「何彼無し」は「漠然としたあれこれがない」⇒「特に理由もない」という意味になり、それが「なにがなし」⇒「なにげない」と変化し、「なにげに」になったと考えられます。
「なにげに」と「何気ない」の違い
先述のとおり、「なにげに」は「何気ない」が変化した言葉ですが、この二つは同じ意味ではありません。
まず、「何気ない」には「なにげに」のような「意外と」という意味はありません。また、「なにげに」は副詞ですが、「何気ない」は形容詞です。
「なにげに」の歴史
「なにげに」という言葉が最初に使われ始めたのは、1970年代だと言われています。しかし、広く一般に浸透した言葉ではありませんでした。
「なにげに」が普及し始めたのは1980年代後半から1990年代前半にかけてです。しかし、このころの「なにげに」にはまだ「意外と」という意味はありませんでした。
現在、ネットを見ると「意外と」という意味で「なにげに」を使う人がほとんどですが、この使い方は21世紀に入ってから生まれたとされています。
「なにげに」まとめ
日常生活で使われることの多い「なにげに」ですが、その語源を辿るといくつもの変化を繰り返してきた、“なにげに”歴史のある言葉だとわかります。
いっぽうで、いくつもの変化を繰り返して今の形になったのは50年ほど前、「意外と」という意味が追加されたのはたった20年前と、“なにげに”新しい言葉でもあるのです。
今から20年後、30年後、「なにげに」はまた新しい形になったり、新しい意味で使われているかもしれません。