「おざなり」の意味
「おざなり(御座なり)」はその場だけで取り繕うこと、いい加減に済ませることという意味です。表面上取り繕ってはいるけれど、内心いい加減で誠意がこもっていない様子を表します。
当座のことさえ何とかなればそれでいいという姑息な手段や、根本的に対処しないことに良く用いられます。
ただあり合わせで済ませるだけでなく、切り抜けることだけを意識した確信犯的に不誠実な間に合わせを指す言葉です。
「おざなり」の使い方
「おざなり」はよく「なおざり」と間違えられます。以下に例文とNG例を示すので、実際に使う参考にしてみてください。
OK例
- 上役から言われたからやっただけという感じの、やる気のないおざなりな対応。
- 朝礼の挨拶はいつも月並みな、おざなりの域を出ないものばかりだ。
- おざなりに仕事をするだけなら、誠意を持って取り組める仕事に転職してしまえばいいのに。
NG例
- 友人があれこれと助言をしていたが、おざなりに聞き流す。
- 対策をおざなりにする。
- 遊びにかまけていて、勉強がおざなりだ。
上記は全て誤用です。本来なら「なおざり」を使うところに「おざなり」を使っています。「おざなり」はあくまでも一時しのぎで心が入っていないことです。軽んじることや放っておくという意味はありません。
「おざなり」の由来
「おざなり」は「お座敷なり」に由来すると言われています。「お座敷なり」はお座敷の接客態度のようにという意味です。
お座敷は宴会や接待に使われる場所。舞妓(まいこ)さんや芸妓(げいぎ)さんが客人をもてなす所ですね。
このお座敷での芸妓さんたちの接客態度がその場限りでいい加減な、うわべだけ取り繕ったものだったので、お座敷の接客のようという意味で「お座敷なり」という言葉ができました。これが縮まり「御座なり」になったそうです。
「おざなり」と「なおざり」
「おざなり」とよく似た言葉に「なおざり」があります。文字の位置が違うだけですが、意味は全然違います。
誠意がない間に合わせを意味する「おざなり」に対して、「なおざり(等閑)」は大したことじゃないと軽く見ておろそかにすることを意味します。顧みない、放っておくといった意味もあります。
「おざなり」と「なおざり」は、どちらもいい加減で適当なところは同じです。違うのは取り合うかどうか、相手にするかしないかです。「おざなり」は誠意がないなりに、間に合わせやありあわせとはいえ一応対応はします。
しかし、「なおざり」は注意や意識を払わないことを指す言葉です。取り合わず放っておくことや、なかったこととして無視することさえもあります。意図的に軽視する場合だけでなく、ボーッとしていたり忙しさで目が回らない時にも使われます。
「おざなり」の英訳
「おざなり」は英語では「perfunctory」です。習慣や惰性、義務感からの行動で、情熱や熱意などの感情が伴っていないことを表す形容詞です。基本的に「おざなり」であればこの単語で大丈夫です。
また、「casual」も「おざなり」の訳語として使われることがあります。日本では気取らない、略式といった意味合いが強い単語ですね。
英語でもそういった意味で使われますが、「casual」には注意や意図がないという意味もあります。深い考えからの行動ではない場合にはこちらも使うことができます。ただ、どちらかというと「なおざり」に近い単語なのでそこだけは注意しましょう。