「こじらせ女子」とは
雨宮まみ氏の著書『女子をこじらせて』から派生したと言われる「こじらせ女子」。2014年には、その恋愛模様を描いた漫画『きょうは会社休みます。』が綾瀬はるかさん主演で連続ドラマ化され、日本テレビ系で放送されました。
では、「こじらせ女子」とはどのような女性を指すのでしょうか。「こじらせ女子」の名付け親である雨宮まみ氏は、女性の内面や自意識に焦点あて、本人に問題があり結果陥ってしまった状態を「こじらせ」と表現しました。
女性としての自分に自信が持てず、自己評価が低いために生きづらさを感じている女性、それがすなわち「こじらせ女子」です。
「こじらせ女子」の登場
○○女子という言葉を最初に使用したのはライターの深澤真紀氏で、2006年のことです。恋愛に積極的になれない男子を「草食男子」、その対義語として恋愛に積極的な女子を「肉食女子」と名付けました。
そこから一気にブームとなり、個人の見た目や性格、行動を形容した○○男子、○○女子が次々と誕生。今では○○男子は50~60種類、○○女子は100種類以上にも及びます。
そしてその中のひとつ「こじらせ女子」は、『2013ユーキャン新語・流行語大賞』の候補にノミネートされるなど、とりわけ話題となりました。
「こじらせ女子」の特徴
- 褒められることが苦手で素直に受け止めることができない
- ネガティブ志向で自虐的
- 人に頼ったり甘えたりするのが苦手で自分で抱え込む
- 常に受け身
- 口癖は「でも」「だって」「どうせ」
- キラキラしたSNSが苦手、女の子っぽいことが苦手
- 恋愛に臆病
上記特徴に当てはまりつつ「しかし、願望はある」。そういった傾向がある女性を「こじらせ女子」と呼んでいます。
ただの不器用とも異なり、「密かに願望を抱いているのに、いざチャンスが巡ってきても踏み出せない、あるいは拒否する」というその性格はなかなか厄介で、仕事の場や恋愛関係において相手に「面倒くさい人」という印象を与えてしまう可能性もあるので要注意です。
なお、「こじらせ男子」の思考・行動パターンも概ね同じです。ただし、男子の方が女子に比べて、周りから「面倒くさい人」と思われやすい点が特徴的です。
「こじらせ」の意味と使われ方
もともと「拗らせる」という言葉には、物事をもつれさせて処理や解決を困難にするという意味と、病気を治し損ねて長引かせるという意味があります。
「風邪を拗らせた」という時の拗らせるは後者です。そして「人の行動や性格が原因で引き起こされる状況」に用いられるのは前者です。「こじらせ女子」の「こじらせ」も前者、そして後ろに‘女子‘が付くことで、さらに意味は拡大します。
ちなみに、後ろに‘女子‘が付く時は、「こじらせ」とひらがなで表記するのが一般的です。
こじらせからの脱却
雨宮まみ氏が発信した「こじらせ」は、今や自己肯定感の低い男女の総称となりました。時に自虐的に「こじらせ」を口にするケースもあるでしょう。
しかし、他人から「こじらせ」を指摘された時、それは決して良い意味で使われてはいないということに留意しておかなければなりません。
一度自己肯定感が低くなる、すなわちこじらせてしまうと、そこから抜け出すのはなかなか難しいものですが、抜け出そうとする努力は大切です。
雨宮まみ氏も過去の取材で、「劣等感や卑屈さに『どうせ私は』と開き直ったり、あきらめたりするのではなく、それに向き合って乗り越えようともがいているのが、心正しいこじらせ女子の姿」と語っています。
雨宮まみ氏の名付けた「こじらせ女子」は、不器用で、考え方が面倒くさくて、生きづらさを感じている女性を差別化するものではなく、彼女たちに贈るエールとして世に送り出された言葉だったのです。