「目が点」の意味
「目が点」とは、「目が点になる」の略語です。驚きのあまり頭が真っ白になる、茫然として他のことが考えられない様子を表す言葉です。目を大きく開いている一方で、黒目がとても小さくなっている状態を誇張した表現です。
「目が点」の由来
「目が点」の由来はマンガです。昭和の頃のマンガでは登場人物の目を点にすることで驚きを表していました。ここから、マンガであったら目が点になっているくらい驚いたという意味で「目が点になる」という表現が生まれました。
黒目の大きさ
意外に思われるかもしれませんが、黒目の大きさはほとんどの人が1cm強で一定です。化粧やコンタクトレンズで大きく見せることはできますが、黒目自体が小さくなることはありません。よって、「目が点」はあくまでもマンガの中だけの現象、誇張と言えます。
ただし、黒目の中心にある瞳孔の大きさは変わります。もちろん点にはなりませんが、以下のような状況で小さくなります。ちなみに、瞳孔とは黒目の中心にある黒い部分です。
明るい場所にいる時
まず、定番が暗いところから明るいところに移動したときです。理科の授業で習った方もいるかもしれませんね。暗いところでは光を確保するために瞳孔が開きますが、明るいところではかえってまぶしいので動向が小さくなります。いわゆる明順応という反応です。
サスペンスドラマで死体の目に懐中電灯の光を当てているシーンを見たことはありませんか?あれはこの現象が起きるかどうか調べているのです。生きていれば反応しますが、反応しないなら既に死んでいるということになります。
嫌いな人といる時
実は、嫌いな人や見たくないものが視界に入った時にも瞳孔は小さくなります。「目は口程に物を言う」は正しかったのです。嫌いな上司であったり、誰かが怒られている現場などは見るだけでストレスになる。本当なら顔を背けたり体ごと移動すればよいのですが、そうはいかないこともあるでしょう。そんな時、見たくないものを極力見なくて済むように体の方で調整してくれているわけです。
逆もまた然りで、好きなものや見たいものを前にすると瞳孔は大きくなります。黒目が大きい人が魅力的なのも自分に好意を向けて入れていると感じる子らかもしれませんね。
怒っていたり、攻撃的な時
「目が点」は「三白眼」になぞらえて「四白眼」と言われることもあります。修羅や羅刹などの仏像にみられるように、攻撃的で恐ろしい印象を与える目でもあります。この印象は間違ったものではなく、怒りを感じているときには瞳孔が小さくなります。こういった目をしている人を見たら近づかない方がよいでしょう。
では、逆に怒られて恐怖を感じている人はどうでしょうか。答えは瞳孔が開く、です。あれ、見たくないものを前にすると瞳孔は小さくなるのでは、と思った人もいるかもしれません。ですが人間も動物です。怖いものの事は常に見張って警戒しておく必要があるということです。
「目が点」の使い方
使い方
「目が点」が使われるのは、見たくないものを見て驚いた、非常識で想定外な事態に開いた口がふさがらないといった否定的な状況です。ぽかんとして呆気に取られている時や、度肝を抜かれてフリーズした時に使ってみるとよいでしょう。
なお、元が昭和のマンガであるため、世代によっては通じにくい言葉です。相手によっては別の言葉で言い換えた方が無難かもしれません。
例文
- 何年もこの会社にいるが、初対面の新人にため口で話しかけられた時は目が点になった。
- せっかく入社した有名企業を3日で退職したと聞いたときは目が点になってしばらく何も言えなかった。
テレビ番組『所さんの目がテン!』
『所さんの目がテン!』は日本テレビ系列で放送されているバラエティー番組です。科学系を中心に実験やその解説を主な内容にしています。毎回異なる身近なテーマについて、疑問を科学的に解析する番組です。司会は所ジョージ。1989年以来およそ30年間放送されてきた長寿番組です。テレビ番組で「目が点」というとこちらを指すことも多いようです。