「何気に」の意味や使い方
「何気(なにげ)に」は、「なにげなく」「なにげない」から新しく作られた言葉です。多くの場合、これといって特別な意図や考えはないという様子を表します。
「何気に見る(なんとなく見る)」「何気に忙しい(これといったはっきりした理由はないが忙しい)」というように使います。
「何気に」の成立
「何気に」は「なにげなく」「なにげない」という形容詞の連用形から新しく作られた副詞ですが、例えば『明鏡国語辞典』では「何げない」の項目に以下のように注釈を付けています。
また『広辞苑』も「1980年代から誤って使われ始めた」と明記しています。しかし80年代以後衰える気配もなく、広く普及していっそう一般的に使われており、今後誤用ではなくきちんと辞書に掲載される可能性はあります。
「何気に」の意味合い
「なにげない」は本来「何気無い(なにか+無い)」と否定の意味ですが、若者言葉の「なにげ」を細かく見ると、「無い」がなくても「はっきりしない、漠然としている」状況を表す場合が多く、そう考えると「なにげない」の略語として意味合いは成り立つようでもあります。
また、「さりげない」「さりげなく」から「さりげに」が同じように新しく生まれていますが、「何気に」「さりげに」が混同され、(相手に対して特になんでもないことのように)「なにげに渡して」「さりげに渡して」というように、どちらのニュアンスも含む場合もあります。
「何気に」の類語
「何気に(なにげない)」の類語は「然り気無い(さりげない)」になります。「なにげない」は特に意図もなく、意識せずにちょっとしたことをすることであるのに対し、「さりげない」はあくまで意図的にすることだが、相手にはそう感じさせないようにふるまう様子を言います。
その他、関連する言葉は細かい意味合いでいくつかに分けられます。
「自然でわざとらしさがない」の意味
- 自然
- ナチュラル
- 自然体
- いつに変わらぬ
- こともなげ
- すんなり
- しっくり
「平然」の意味
- 平然
- 事ともしない
- なにくわぬ
- びくともしない
「なんとなく」の意味
- なんとなく
- なんとなし
- いずれともなし
- どことなく
- どうかすると
- しらずしらず
- そこはかとなく
- 漫ろ(そぞろ)
「何気に」の英語
「何気に(なにげない)の英語は、unconcernedly(なにげない)、casually、nonchalantly、in a casual manner(さりげない)など、さまざまな場合があります。
【用例】
- なにげないふうを装って、彼は手紙を渡した…He handed her the letter with pretended nonchalance.
- 犯人はなにげない様子で葬儀に列席した…The murderer attended the funeral as if he had nothing to do with the case.
- 彼らの会話をなにげなく聞いてしまった…I happened to overhear their conversation.
- なにげなく言ったことが彼を傷つけた…My careless thoughtless remark hurt him.
- 彼女にさりげなく近づこうとした…He tried to approach her in a casual manner.
- 彼女はさりげないおしゃれをする…She dresses well in an inconspicuous way.
- さりげない心遣いをする…be unobtrusively considerate