「コリジョンルール」とは
「コリジョンルール(collision rule)」とは野球のルールの一つであり、返球されたボールを捕手が取ったあとに走者が体当たりをしたり、返球されたボールを捕手が取る前に走者の進路を塞ぐことを禁止したものです。衝突ルールとも呼ばれ、本塁ベース上でのクロスプレーがランナー、キャッチャー等どちらも選手生命、ひいては日常生活に著しい悪影響を及ぼす怪我を未然に防止するために規定をいいます。
「コリジョンルール」ができた背景
MLBの場合
2011年のジャイアンツvsマーリンズ戦において、ジャイアンツのポスター・ホージー捕手が本塁クロスプレーの際に相手走者からのタックルを受けて左足靭帯損傷の大怪我を受けたことがきっかけといわれています。そのほかの試合でもたびたび危険なクロスプレーでの選手のけがが見受けられたために、2014年にはMLBにおける禁止行為の一つとして加えられることとなりました。
https://www.mlb.com/news/mlb-institutes-new-rule-on-home-plate-collisions/c-68267610
日本プロ野球の場合
日本でも本塁ベースでのクロスプレーでけがをした例は複数ありますが、特に2013年以降、阪神タイガースのマット・マートン選手が度重なる本塁ベース上での危険なタックルが各マスコミや野球評論家の間でも大々的取り上げられていました。プロ野球選手会でもクロスプレーでの危険タックルに関する規則改定の意見を受け、すでに導入していたMLBのコリジョンルールを日本プロ野球でも2016年の1月から導入されることとなりました。
「コリジョンルール」の例
どのような場合にコリジョンルールが適用されるのか例を挙げます。本塁に突入するランナーが、走路をブロックしていない捕手に対してクロスプレーをした場合については、アウトが宣告され、他に走者がいた場合には接触時点で進塁していたところまで戻されることになります。
また、本塁にボールが到達する前に本塁に突入する走者の進路をブロックした場合は、セーフが宣告され、他に走者がいた場合はすべてセーフとされる。
「コリジョンルール」導入により指摘された問題点
2016年に日本のプロ野球でコリジョンルールを導入するにあたっては、各チームへ出向いての講習会などで周知徹底を図ったものの、実際の試合では以下のような問題点が指摘されました。
- 本塁審判によって判断基準が異なることで混乱を招いた。
- ビデオ判定をする場面が増え、試合時間が長引くようになった。
- 本塁ベース上での緊迫したプレーが見られなくなった。
コリジョンルールの適用判断にあたっては、ランナーがホームベースに突入する時点で捕球した守備側に衝突する意図があるのか、捕球していない守備側がランナーの走塁を妨害する意図があるのか瞬時に判断するところにあります。
まとめ
日本でのコリジョンルールの適用に関してはまだ日が浅いこともあって、野球ファンの中でもご存じでない方もいらっしゃるかと思います。コリジョンルールの適用は年に数回あるぐらいの事柄ですが、1点入るか入らないかという判断ですので試合の流れを大きく左右する重要なものであるとご理解いただけましたでしょうか?これから野球の試合を観戦するうえでお役に立てれば非常に幸いです。