「卑しい」の読み方
まず「卑しい」は、「いやしい」と読みます。音読みで「卑」は、「ひ」と読む字です。漢字検定では、三級あたりで出てきます。
「卑しい」の意味
「卑しい」には細かく分けて、以下の四つの意味があります。
- 身分や社会的な地位が低いこと
- 品位に欠けていること、下品なこと
- 貧しい、みすぼらしいこと
- 食事、金銭に対して貪欲なこと
他には取るに足らないことも表しますが、そちらは古い読み物などで使われている意味なので、現代では大抵、1~4を示すかと思います。またこの言葉は「賤しい」とも書きますが、意味は同じです。
「卑しい」の使い方
「卑しい」は形容詞に分類され、形容詞とは対象の性質、状態を表す役割などを持っています。ここでの性質や状態とは、「卑しい」の1~4の意味ですね。
よってその対象と一緒に使うと、意味が適切に伝わりやすいかと思います。つまり何が卑しいのか、ということです。またこの言葉は「卑しく」や「卑しさ」などのよう、変化した形でも使われます。
卑しい:地位が低いこと
【例:彼は卑しい身分だ】
これは1の意味で使っていて、そのまま「地位が低い」ことを表しています。時代劇などでは、たまにこういう台詞を耳にします。たとえば作中の奴隷であったり、お殿様から見た平民であったり、自分よりも下の立場の人間、ということです。
また、へりくだって何かを言うとき、「卑しい身ではありますが~」と自分を指して使うこともあります。
卑しい:下品なこと
【例:彼は言葉遣いが卑しい】
これは2の意味で使っていて、「言葉遣いに品がない」や「言葉遣いが下品だ」と言い換えられます。身分と比べると、割とニュアンスが違っていますね。
卑しい:貧しいこと
【例:服装が卑しい】
これは3の意味で使っていて、「服装がみすぼらしい」と言い換えられます。ちなみにみすぼらしいとは、身形が悪いことを表します。もっと噛み砕いて言えば、貧乏臭い格好ということです。
卑しい:貪欲なこと
【例:彼女は金に卑しい人間だ】
これは4の意味で使っていて、「金への欲が深い」と言い換えられます。金に汚い、ガメついようなニュアンスです。
似たような使い方として、食い意地の張っている人のことを、「口が卑しい」と表したりします。食事に対して、がっついている感じです。
「卑しい」に関連する言葉
「卑しい」に関連する言葉には、「下劣(げれつ)」、「さもしい」、「浅(あさ)ましい」、「卑俗(ひぞく)」などがあります。
「下劣」について
「下劣」とは、下品で卑しいことや、その様子を表します。使い方に関しては、「下劣なやり口」や「下劣な趣味」のように用いられます。
また「お下劣」という形でも使われたり、他には「下劣」を強調した、「品性下劣」という四字熟語があります。
「さもしい」について
「さもしい」とは、心が卑しいことや、見苦しい、みすぼらしいことを表します。使い方に関しては、「さもしい行為」のように用いられます。
「浅ましい」について
「浅ましい」には幾つかの意味がありますが、中でも品性が下劣なことや、身分や身形が卑しいことという点は、「卑しい」と似ています。使い方に関しては、「浅ましい根性」や「浅ましい姿」のように用いられます。
「卑俗」について
「卑俗」には、以下の二つの意味があります。
- 卑しく下品なこと、品がなく俗っぽいことや、その様子
- 田舎びていることや、その様子
たとえば下品という意味で、「卑しい言葉遣い」は「卑俗な言葉遣い」と言い換えられます。またこの言葉は、「卑俗的」や「卑俗性」のような形でも使われます。
「卑しい」の対義語
「卑しい」の対義語としては、「尊(とうと)い」が挙げられます。
「尊い」について
「尊い」には、以下の三つの意味があります。
- 崇高で近寄りがたいことや、神聖、高貴なこと
- 極めて価値が高いこと、非常に貴重なこと
- 高徳で、ありがたいこと
とりわけ高貴なことは、「卑しい」における1の対義語として分かりやすいかと思います。たとえば立場に関して、お殿様のことを「尊い身分」と表したります。その人が崇高や高貴なことなので、「卑しい身分」とは正反対ですね。
また「尊い」は「たっとい」と読まれたり、「たっとい」は「貴い」とも書かれますが、含む意味はほぼ同じです。