「えげつない」とは?
「えげつない」とは、「度を過ごして露骨に表現するさま。露骨で、いやらしい」や「やり方に思いやりや人情味がない。情け容赦もない」という意味です。
もともと、関西方面の方言ですが、近年では関西のお笑い芸人がテレビなどで「えげつない」を頻繁に使っていることから、その言葉は関西以外でも浸透してきているのではないでしょうか。
また、全国に浸透してきていると同時に、「えげつない」のそのもののネガティブな意味合いだけでなく、単に「すごい」や「信じられない」といった意味での表現でも用いられています。
「えげつない」の語源
「えげつない」の語源は諸説存在します。
「えぐい」から転じた説
好ましくない状態を意味し、また、あくが強い味覚を表現するのが「えぐい(または”えごい”)」です。江戸時代には、「ひどい、残酷」という意味で用いられたという例があり、「えげつない」はこの言葉から転じた説があります。
「いちげない」から転じた説
江戸時代頃から、関西方面において「むごい、人情味がない、厚かましい」などの意味で、「いちげない」という言葉が用いられていました。浄瑠璃などでは、時々「いちげない」という台詞が出てくるのが見受けられます。
その「いちげない」が訛って、「いげつない」になり、さらには「えげつない」へと変化していったという説があります。
「えげつない」の使い方
最近では「やばい」「すごい」「半端ない」などといった、ポジティブにもネガティブにも対応できる、“万能語”のような言葉があります。「えげつない」も、これらの言葉と同等な立場になりつつあるのではないでしょうか。それでは、「えげつない」を使った例文を見ていきます。
例1「やり方がえげつない」
もしも、商品を売る小売業者がお客さんから「やり方がえげつない」と批判を受けた場合、ここでの「えげつない」は、「人情味がない」などのネガティブな意味合いになります。
例2「えげつない人だ」
この場合の「えげつない」は、その対象の人との関係性の深さが肝になってきます。あまり関係性が深くない人に対する表現であれば、「露骨で、いやらしい」などの意味になります。一方で、普段から親交があり関係の深い間柄の人に対してであれば、「しょうがない人だ」などの、日常会話のような意味合いになります。
例3「えげつないことを言う」
ここで出てくる「えげつない」とは、ネガティブな要素を含むもので、「非常識で、とんでもない」などの意味です。「かなり酷いことを言うなあ」と言い換えられるかもしれません。
例4「えげつないにも程がある」
ポジティブにもネガティブにも、どちらの意味でも受け取れる「えげつない」です。ただ、最近での「えげつない」の用い方においては、ポジティブな意味での「すごい」や「素晴らしい」という例も多いので、発言した人の様子や前後の文脈から判断することが大切ですね。
「えげつない」の類語
「えげつない」という言葉と並んで、よく使用される言葉がいくつかあります。
「えぐい」
先にも少し触れましたが、「えぐい」も昔から存在する言葉です。「ひどい、残酷」などの好ましくない状態を意味します。「えげつない」と似ている意味合いもありますが、「えぐい」はどちらかと言えば、気持ち悪さを露骨に表しています。
「グロい」
「グロテスク(英語:grotesque)な、生理的嫌悪感を表す」の意味があります。こちらも「えげつない」と通じる部分もありますが、「グロい」は、ホラー映画で出てくるゾンビなどに対するような「醜悪な、奇怪な」の意味で使われています。