「不撓」とは?意味や使い方をご紹介

皆さんは「不撓」という言い回しをご存知でしょうか。心がかたく、困難に屈しないという意味です。スポーツ精神などで奨励されるイメ-ジを持っている方も多いことでしょう。ここでは「不撓」の意味や使い方などを、順に紹介していきます。

目次

  1. 「不撓」の意味や使い方
  2. 「不撓」の成り立ち
  3. 四字熟語の「不撓不屈」

「不撓」の意味や使い方

「不撓」は「ふとう」と読みます。「たわまないこと。心がかたく、困難に屈しないこと。」という意味です。多くは「不屈(ふくつ)」と合わせた「不撓不屈(ふとうふくつ)」という形で使います。「不撓不屈の精神」と言う言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。のちに詳述しますが「困難にあってもひるまず、くじけないこと。」という意味です。

「不撓」の成り立ち

「不撓」の「撓」という字を漢語林で引くと、成り立ちは「手偏+堯。音符の堯は弱に通じ、しなやかの意味。しなやかにたわめるの意味を表す。また、擾に通じ、みだすの意味をも表す。」となっており、字義は「1.たわむ。たわめる。ためる。まがる。かがむ。しなう。くじける。2.みだす。かきみだす。」となっています。

次に「たわめる(撓める)」を広辞苑で引くと、「圧して曲げる。たわませる。」と載っています。「たわみ(撓み)」は、「外力によって板・棒などの軸方向が曲がる変形。」ということなので、「たわむ(撓む)」+「不(否定の助字)」=「たわまない(撓まない)」となります。

「撓」を使う熟語としては他に

  • 撓滑(どうかつ。みだす。まどわしみだす。)
  • 撓擾(どうじょう。みだしさわがす。苦しめ乱す。)
  • 撓折(どうせつ。たわめくじく。くじく。たわめ折る。)
  • 撓敗(どうはい。くじけやぶれる。)
  • 撓乱(どうらん。または、こうらん。みだれる。)
などがあります。どれも日常的にはあまり使われない単語ですが、小説や時代劇では出てくることがあるので覚えておくと便利です。

四字熟語の「不撓不屈」

「不撓」は「不撓」二字だけではなく、「不屈」を加えた四字熟語「不撓不屈(ふとうふくつ)」として使われることがほとんどです。「困難にあってもひるまず、くじけないこと。」という意味です。

「屈」は「1.かがむ。かがめる。曲げる。ちぢむ。ちぢめる。くじける。くじく。へりくだる。服従する。2.つきる。つくす。きわまる。きわめる。3.強い。」という字義です。

「へりくだる。服従する。(屈)」+「不(否定の助字)」=「服従しない」となったのが「不屈」です。こうしてみると「不撓」と「不屈」はかなり近い意味で、「不撓不屈」は同じことを二度繰り返していることになります。

「不撓不屈」以外に「撓」「屈」を使った言葉として、「撓屈(どうくつ。たわめかがめる。しりごみする。)」があります。それぞれに「不(否定の助字)」を加えて、「たわまない。しりごみしない。」という、「不撓不屈」ができあがっています。同じことを二度繰り返し、そのそれぞれを「不」で、さらに二重否定しているということになります。ここで、非常に強い意志を感じた方も多いでしょう。

「どんな困難や苦労にも負けない」という「不撓不屈」とは、やはり肉体的なものというより、精神的な力、強い精神力を端的に表した言葉です。スポーツ界で特に好まれるイメージがあるのは、どんな競技でも、必ず精神力が最も大事な素質であり、鍛え続けなければならないという、そうした厳しい世界であるからではないでしょうか。

もちろんスポーツ選手だけに限らず、日本人の多くは「不撓不屈の精神」を美しく思い、憧れを持ちます。質素で素朴な生活をしながら、世界的にもまれな精神文化を育み、礼儀正しく控えめな態度を美徳とした日本人の、自分を磨き続けようという精神性が込められている言葉の一つであることは間違いありません。

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