「面の皮が厚い」の意味
「面の皮が厚い」は、恥知らずでずうずうしい様子、ひどく厚かましい様子を表す慣用句です。
「面」とは
「面(つら)」には、いくつかの意味があります。一つは、上っ面、文字面など「表面」という意味です。また、面汚しなど「面目、体裁」という意味もあります。
「面の皮が厚い」の「面」はそのどちらでもなく、「顔」のぞんざいな言い方です。ぞんざいというのは、言動が乱暴で不作法である、ということです。つまり「顔」とは言わずに、「面」と言うことで、丁寧さが失われ、強く荒っぽく非礼なニュアンスが生まれるのです。
あまり上品な表現とは言えず、通常いい意味で使われることはありません。「面の皮」以外にも、外面(そとづら)、ばか面、紳士面、女房面などといった使い方があります。
ちなみに、「顔」の古風で上品な表現は「かんばせ」と言います。「花のかんばせ」とは、「花のように美しい顔」という意味です。
「面の皮が厚い」の例文と使い方
- お姉ちゃんの元旦那、うちに来て3000円貸してくれ、だって。先月仕方なく貸した5000円も返してもらってないんだよ。面の皮が厚いにもほどがあるよね。
- ゆきちゃんほど面の皮が厚い人、見たことがないよ。すぐに家の前まで迎えに来てほしいって言っておきながら、連絡なしで一時間も待たされた。彼氏と電話してたんだって。謝りもしなかったよ。
- かおちゃん、課長と不倫してたんでしょ?昨日職場で奥さんと修羅場になったのに、今日は普通に仕事してるよね。あんなに面の皮が厚い人だとは思わなかったよ。
「面の皮が厚い」は、そうした様子を非難したいときに使われています。強い表現なので、使う際には注意してくださいね。
「面の皮が厚い」の類語
「面の皮が厚い」と同じように、ずうずうしい様子を表現したものをいくつかご紹介します。
- 面の皮の千枚張り(つらのかわのせんまいばり)
また「面の皮が厚い」は、四字熟語などでは以下のように表現されます。
- 厚顔無恥(こうがんむち):厚かましく、恥を恥とも思わないこと。
- 鉄面皮(てつめんぴ):鉄でできている面の皮。そのくらい厚かましいこと。
- 面張牛皮(めんちょうぎゅうひ):牛の皮を面に張ったように厚かましいこと。
- 心臓が強い:度胸がよく、厚かましいこと。
- 心臓に毛が生えている:ずうずうしく、平然としていること。
- 臆面(おくめん)もなく:恥知らずで、ずうずうしい様子。
「面の皮」が含まれる表現
「面の皮」は「顔の皮」という意味ですが、「面の皮が厚い」以外にも「面の皮」が含まれる慣用的な表現がありますので、いくつかご紹介します。
【面の皮を剥ぐ(はぐ)】
ずうずうしい人をやり込めて、大恥をかかせたり、正体を暴いて面目を丸つぶれにしてやることを言います。「面の皮をひんむく」、「面の皮をひんめくる」とも言います。
【いい面の皮だ】
割に合わない目にあった時、自分の事であれば自嘲的に、他人の事であれば同情的に使う表現です。
また、山形県の俗諺(ぞくげん)には「面の皮が厚い人は、尻の穴が小さい」という表現もあるようです。これは、恥知らずでずうずうしい人は、けちで度量が狭いものだ、という意味です。