「莉」の読み方
「莉」はリ・レイ・ライと読みます。このうち、「リ」の読み方が一般的です。「莉」が熟語などで使われることはほとんどなく、名前、とくに女の子の名前に使われるのが一般的ですが、男の子でも「莉」を使う場合もあります。
「莉」の意味
実は、「莉」は単独では意味を持ちません。では、どういう時に使う感じかというと、「茉莉(まつり)」という植物の名前を表すときに使います。この茉莉とはインド原産のジャスミンの一種です。
「莉」には本来単独の意味はありませんが、いつからか「莉」だけでジャスミンを意味するようになり、女の子の名前に使われることが増えました。
「莉」の成り立ち
「莉」はくさかんむりに「利」と書くことで成り立っています。くさかんむりは植物を表す漢字に用いられます。
一方、「利」には「勝つこと」や「儲け」という意味がありますが、この場合は単に「リ」という音をあらわすために用いられています。
「莉」が使われている名前
近年、女の子の名前に「莉」を使う人が増えています。子どもの名前を調べている明治安田生命のサイトによると、平成30年に生まれた女の子の名前で人気のトップ100の中に、以下の「莉」がつく名前が含まれています。
- 莉子(りこ)
- 朱莉(あかり)
- 莉央(りお)
- 明莉(あかり)
- 愛莉(あいり)
- 莉帆(りほ)
- 莉愛(りあ)
- 莉緒(りお)
「莉」はいつから使われてるの?
では、「莉」はいったいいつから名前に使われているのでしょうか。再び、明治安田生命のサイトを見てみましょう。
このサイトによると、女の子の人気の名前トップ10で初めて「莉」が使われるのは、平成14年(2002年)で、第5位に「莉子」という名前がランクしています。
次に「莉」が登場するのは少し時が進んで、平成20年(2008年)。この年、女の子の名前第8位に再び「莉子」が登場します。
その後、「莉子」は平成22年からの2年間と平成28年からの3年間、計5回にわたり女の子の名前トップ10にランクインしています。平成22年には2位にランクインしています。他に「莉」がつく名前としては、「愛莉」が平成21年と平成26年にランクインしています。
「莉」がつく名前のまとめ
つまり、平成20年からの11年間のうちの実に8年間、「莉」がつく名前が、女の子の人気の名前トップ10にランクインしているのです。
すなわち、平成31年現在、小学生や幼稚園児の女の子で、名前に「莉」がつく子どもが多いという事になります。
ちなみに、男の子の場合は、過去に「莉」がつく名前がトップ10にランクインしたことはありません。
「莉」がつく名前で重視されるのは音?意味?漢字?
「莉」が使われる名前にはいくつかの傾向があります。
音が重視される場合
「朱莉」や「明莉」と書いて、「アカリ」と読む名前があります。「アカリ」という言葉は一般的には「明かり」や「灯り」と表記されますね。「アカリ」はこの、普段はひらがなで表記される「リ」に「莉」という漢字を充てています。
この場合、まず「アカリ」という名前の音が先に決まっていて、それに似合った漢字として「莉」が選ばれたと推測できます。
漢字が重視される場合
平成20年以降、「莉子」という名前が人気を集めています。ですが、それ以前に「リコ」と読む名前はランクインしていません。つまり「リコ」という名前自体が、「莉子」という表記とともに広まったと考えられるのです。
このことから、「莉子」は「莉」を使うために生まれた名前ではないかと推察できます。要するに、まず「莉」という漢字を名前に使いたい、という思いが最初にあったのではないかということですね。
「莉」を広めたのは誰?
では、この「莉」を広めたのはいったい誰なのか、考察してみましょう。「莉」は平成20年から名前に広く使われるようになりました。この時期に活動していた有名人に、元サッカー日本代表の田中マルクス闘莉王選手がいます。
ブラジル出身の闘莉王選手は日本に帰化する際に、「トゥーリオ」という名前に「闘莉王」という漢字を当てはめ、そこで「莉」という漢字を使いました。
闘莉王選手は平成18年に浦和レッズでリーグ優勝を果たし、この年に日本代表にも選出され、一般的な知名度を獲得しました。この時、闘莉王選手と同時に「莉」という漢字も広く認知され、「ジャスミン」を想起させる字であることから、子どもの名前に使われ始めたのではないでしょうか。
「莉」まとめ
「ジャスミン」は香りの王と呼ばれるほどの芳香を放つ、優美な花として知られています。また「愛想の良い」や「愛らしさ」といった花言葉も持っています。愛する我が娘に「莉」の名を冠する親心が察せられますね。