「申し訳」の意味と語源
「申し訳」は日常会話、特にビジネスシーンでよく耳にする言葉です。しかし、「申し訳」を言葉として単体で使用することはあまりありません。「申し訳ありません」や「申し訳ございません」などのように、敬語として用いられるのが一般的です。
ただし「申し訳程度ですが」といった使い方で、事柄の程度をへりくだって表現する際に使用する場合もあります。
申し訳の意味を理解するために、まず「申す」と「訳」の二つの単語に分解して考えてみましょう。申すは「言う」の謙譲語にあたります。「訳」は事情、経緯などの意味があります。二つを合わせると、言い訳や弁解といった意味としてとらえられます。
「申し訳」の使い方
申し訳という言葉に関しては、大きく二つの使い方があります。
申し訳ない
「申し訳ない」は日常的に耳にする謝罪のことばですね。平たく言うと、「言い訳のしようがない」、「弁解の余地がない」という意味です。「申し訳」という名詞に「ない」という助動詞が組み合わされた表現で、相手への敬意の度合いで実際の使用方法が以下のように変化します。
- 同等の立場の友人や知人…「遅れて申し訳ない」「申し訳ないが行けないよ」
- 距離感がある相手への丁寧な謝罪…「申し訳ありません、すぐにお届けします」「お役に立てず申し訳ありません」
- ビジネスなどで謝罪をする場合…「対応が不十分で申し訳ございません」「ご迷惑をおかけして、大変申し訳ございません」
申し訳程度
「申し訳程度」は、贈答品などの程度や分量をへりくだる際に使用する言葉です。言い換えれば「なんとか言い訳ができる程度の量」といったところでしょうか。
お世話になった方やビジネスクライアントなどに返礼や贈答をする際に使用する言葉なので、自分が受け取る側のときには使用できません。万一いただいた品物を「申し訳程度ですね」などと表現してしまうと、相手に対しては嫌味を含んだ大変失礼なニュアンスになるので、じゅうぶん注意してください。
また謙譲の意味ではなく、実際に「ほんのちょっと」「ほんの形ばかり」というときに「申し訳程度」を使う場合もありますが、誰かを不快にしないことが保証されている際にのみ使用するのが通例です。
- 申し訳程度ですが、よければお皆さんでお分けください。
- あのレストランのデザートは申し訳程度のものだったね。
「申し訳」の同義語
申し訳を使用した言葉の同義語としては以下のような表現があります
- 弁解の余地がない…申し訳を漢語的に表現すると「弁解」となります。言い訳のしようがない状況での謝罪の言葉として同義語です。
- 顔向けができない…面と向かって言い訳をすることができないような状況での謝罪の言葉です。
- つまらないものですが…「申し訳程度」に対応する同義語で、贈答品や謝礼品を相手に渡す際の謙遜の言い回しです。分量に重きがおかれがちな「申し訳程度」に対し、中身や質に重きがおかれるニュアンスです。この表現は親しい知人の間でも、またビジネスシーンでもよく耳にします。
「申し訳」の反対語
「申し訳がない」に似た「申し分がない」という言葉があります。「分」には分けるという意味のほかに、その人の技量や能力を指す意味があります。申しに分をつけることで、何も言うことがない出来映えや能力を指す言葉になります。例文として、「この作品の出来映えは申し分がない」などと使用します。
「申し訳」の英語表現
申し訳がないという謝罪表現は、英語では"I’m sorry~"が一般的です。例文として、"I’m so sorry for making you go through all this.(大変な思いをさせて申し訳ない)"や"I'm sorry about this(そのことについては申し訳ない)"などがあげられます。
「申し訳」のまとめ
謝罪をする場合には「ごめんなさい」や「すみません」という言葉が一般的ですが、これらは比較的親しい関係のなかで日常会話として使用する言葉です。特にビジネスシーンや目上の方との会話では「申し訳ありません」という謝罪の表現は、会話でもメールなどの文章表現でも頻繁に使用することになります。
言い訳などをせずに真摯な気持ちで謝罪を伝えるために、その意味や使い方をしっかりと理解し相手の気持ちを良く考えて使用することを心がけましょう。