「粋」とは?意味や読み方をご紹介

皆さんは「粋(いき)」という言葉をご存じでしょうか。「粋」は江戸時代に広まった言葉ですが、実は「いき」と「すい」、二つの読み方があります。この記事では、「粋」について、その語源や二つの意味、関連語など詳しくご紹介します。

目次

  1. 「粋(いき)」とは
  2. 「粋(すい)」とは
  3. 文化としての「いき」と「すい」
  4. 「粋」の例文と使い方
  5. 「粋」の関連語

「粋(いき)」とは

「粋(いき)」には二つの意味があります。一つは、「態度や身なりが洗練されていて色気があること」です。もう一つは、「人情の機微(きび:表面にあらわれない微妙な心の動きや事情)に通じていること」です。

後者の「粋」は、とくに「花柳(かりゅう)」の世界に通じているさまを表します。「花柳」とは、「花街柳巷(かがいりゅうこう)」の略で、芸者や遊女、また芸者町や遊郭を表します。

本来、「粋」は「意気」という言葉が語源です。「気だて・心持ち」を意味し、とくに、積極的に何かに向かっていこうとする心の動きを表します。「意気込み」や「気概」ともいいます。

「粋(すい)」とは

「粋」を「すい」と読む場合もあり、前述した「粋(いき)」とは少々意味が異なります。「粋(すい)」とは、「まじりけがなく、最もすぐれたもの」、また、「ものわかりがよく洗練されているさま」「花柳界や芸人社会の事情に通じ、あか抜けているさま」を表します。

文化としての「いき」と「すい」

「いき」も「すい」も、時代の流れによってできた、文化を表す言葉です。違いとしては、諸説ありますが、広まった時代や地域が異なるということです。

まず、「いき」の美意識は、江戸時代全般に使われていました。一方、「すい」は江戸前期、主に上方(かみがた:京都・大阪およびその周辺)で広まったものです。また、これらと並んで「通(つう)」と呼ばれるものもあります。

「すい」がたくましく豪華であるのに対し、「いき」は控えめで繊細な振る舞いや色気を指す、ともいわれています。しかし、どちらも似たような意味を持つため、とくに区別するものではないという説もあります。

「粋」の例文と使い方

「粋(いき)」と「粋(すい)」、使い方や当てはまる言葉が微妙に異なります。ここでは、それぞれの適切な使い方をご紹介します。

「粋(いき)」

  • 彼は私の好みを事前に調べて花を贈ってくれた。なかなかなことをする。
  • 友人のな計らいで、片思いの彼女とデートする機会ができた。
  • 日常でも浴衣を着るなんてな人だ。
このように、さりげない気遣いをしてくれたときや、他人とは違う格好良さ・色っぽさ(とくに日本の文化を指す)を表すときに、「粋」は使われます。単に「気が利く」「おしゃれ」と褒めるよりも、「粋」はそれらを越えた「余裕」のようなものを感じるのではないでしょうか。

「粋(すい)」

  • 最新の技術のを集め、この発明が出来上がった。
  • が身を食うというし、遊びや趣味はほどほどにやらないと危ない。
一つ目の例文では、「高度の高い技術の中でも、よりすぐれたもの」という意味で「粋」が使われています。似たような表現に、「選りすぐりの」という言葉があります。

二つ目は、「粋が身を食う」ということわざを使った例文です。「粋人(すいじん:世間や人情に通じたものわかりのいい人・風流を好む人)だともてはやされていると、その道にふけって身を滅ぼすことになる」という戒めです。

「粋」の関連語

  • 野暮(やぼ):「粋(いき)」の反対語です。「人情の機微や世情に疎いさま」「趣味が洗練されていない」「遊里の事情に通じていない」という意味があります。「無粋(ぶすい)」ともいいます。
  • 鯔背(いなせ):「威勢がよく若々しいさま」を表す言葉です。江戸時代、魚河岸(うおがし:魚市場のある河岸)の威勢のいい若者が、「鯔背銀杏(いなせいちょう)」という髪型にしたことが由来です。
  • 気っ風(きっぷ):「気風(きふう)」のなまった言い方です。「その人の言動から感じ取れる気性や気前」を表します。「気っ風のいい人だ」など、さっぱりとして思い切りの良い性格を褒める際に使います。


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