「大は小を兼ねる」とは?
「大は小を兼ねる」は、「だいはしょうをかねる」と読みます。意味は、「大きいものは小さいものの代わりとしても使うことができる、大きいもののほうが小さいものより幅広く役に立つ」ということです。
「少ない量より多い量のほうが、足りない分を補うことができる」という意味や、「小さいものは大きいものの代わりにはならない」という意味で使われることもあります。
「大は小を叶える(だいはしょうをかなえる)」は、「大は小を兼ねる」の類義語です。
「大は小を兼ねる」の例文
- 旅行に行くのに、大きいかばんと小さいかばんのどちらにするか迷ったけれど、「大は小を兼ねる」から、大きいかばんにしたよ。
- 中学校に入学する子どもの制服は、大きいサイズのものを買ったよ。すぐに大きくなるし、「大は小を兼ねる」とも言うからね。
- 結婚するから、自動車を大きなものに買い替えたよ。家族もそのうち増えるし、「大は小を兼ねる」しね。
「大は小を兼ねる」由来
中国の漢の時代の学者、董仲舒(とうちゅうじょ、紀元前176?~紀元前104?)が、政治や道徳について著した論文集『春秋繁露(しゅんじゅうはんろ)』に、次のような文章があります。
「大は小を兼ねる」ということわざは、この記述をもとにしています。
「大は小を兼ねる」対義語
材大なれば用を為し難し
「ざいだいなればようをなしがたし」と読みます。
大きすぎる材木は、加工するとしても持て余してしまい、使いにくい、という意味です。転じて、あまりにも立派すぎる人は世の中には受け入れられにくい、ということを表すこともあります。
杓子は耳掻きにならず
「しゃくしはみみかきにならず」と読みます。
杓子(しゃくし)は、ご飯などをすくうための道具で、しゃもじとも言います。杓子は、耳掻きと形は似ていても大きさが違うので、耳掻きとして使うことはできません。大きいものが必ず小さなものの代わりになるわけではない、という意味のことわざです。
搗き臼で茶漬け
「つきうすでちゃづけ」と読みます。
搗き臼(つきうす)は、餅つきや穀物の脱穀などに使う大きな臼のことです。大きな搗き臼が、小さな茶漬けのお椀の代わりにはならない、大は小を兼ねることはない、という意味です。
長持は弁当箱にならぬ
「ながもちはべんとうばこにならぬ」と読みます。
長持(ながもち)は、江戸時代から明治・大正のころの日本で使われた民具で、衣類や寝具などを入れる木の箱のことです。一般的な大きさは、長さ約174cm、幅と高さが約75cmです。そのような大きなものは弁当箱に使うことはできない、大きすぎても役には立たないということを表します。
「長持枕にならず(ながもちまくらにならず)」ということわざも同じ意味です。
他にも、「大は小を兼ねる」と同じ意味で次のようなことわざもあります。
- 薪は楊枝にならぬ(たきぎはようじにならぬ)
- 畳針で着物は縫えぬ(たたみばりできものはぬえぬ)
「大は小を兼ねる」英語での表現
- The greater serves for the lesser.
- The greater serves for the smaller.
- The greater embraces the less.
- Too big is better than too small.
- A large thing will serve for a small one.
- Store is no sore.