①帆船の帆柱「mast」
マストと言うと、まず一番に帆船の帆が浮かぶのではないでしょうか?実際にはその帆を支える支柱の事をマストと言います。
帆船は、15~18世紀の大冒険時代に普及し、冒険家のヴァスコ・ダ・ガマ(ポルトガル)や、コロンブスらの大陸発見の際にはその航海で大活躍しました。風を推進力とするため、大きな船ほど多くの風を集めるための帆を必要とし、そのため帆を支える帆柱「マスト」も帆船の大きさに合わせて数が多くなります。
蒸気を動力とした汽船の普及により、帆船は少しずつ姿を消していきますが、現在でも船の航行に必要な安全灯や信号機・レーダーアンテナを支える支柱など、柱状の構造物をマストと呼びます。
②英語の助動詞「must」
もう一つのマストは英語の「must」で、①助動詞として使用する場合と、②形容詞的に使用する場合があります。
①の助動詞として使う場合は次の意味を持ちます。
- 「~しなければならない」と言う義務・必要・命令
- 「~してはいけない」と言う禁止
- 「~に違いない」と言う推量
②の形容詞の場合は、mustの後ろに「book」等の名詞や「buy」等の動詞を付けて使います。
- must book(マストブック)必要不可欠な本=必読書
- must for a purofessional look プロっぽい仕上がりに欠かせない物
形容詞になると、「不可欠な」「欠かせない」と言う意味になります。
ビジネスシーンで使う「マスト」
上記の通り、マストは「必ず~しなくてはいけない」と言う強い義務や命令の意味を持ちます。そのため、ビジネスシーンでも、そのままマストを使う機会が増えてきました。
例えば、職場で、
「急ぎの依頼が入ったので、こちらをマスト案件で頼む」
「マスト事項なので、よろしく」
などと言われる事もあるでしょう。ビジネスでは、取引先や社内チームなどの大勢の人が関わる膨大な量の案件を、効率よく進めていく事が大切なため、どの案件が重要なのかを「マスト」を使用してはっきりと示していくと、作業での優先順位をつける事ができます。
マストアイテムとは?
ファッション誌や女性雑誌でも「マストアイテム」と言う言葉を、よく目にします。このマストアイテムと言う言葉は「持っておいた方がいいもの」「あると便利なもの」と言った意味合いで使用され、ビジネスシーンで使用されるマストと比べると、やや強制ではなく柔らかな表現になります。
旅行代理店が提案するパンフレットの裏や、化粧品の店頭でも、「旅行に役立つマストアイテム」や、「この冬持っておきたいマストアイテム」と言う使い方で、使用されています。
マストの意味 まとめ
探してみると、巷には、実に様々なマストを付けた言葉が溢れています。
「必読書・必携書」と言う意味を持つ「マストブック」は、サラリーマンの経済白書や、受験生の参考書等を指すのでしょうか。また、「マストアプリ」は現代人には欠かせないスマートフォンの機能です。
これからますます「マスト」をはじめ、色々な場面で英語の意味を利用したカタカナ日本語が使われる機会が増えていくことでしょう。