「太刀打ち」の意味とは?
「太刀打ち」(たちうち)の意味は以下の通りです。
- 太刀を手にして斬り合うこと・太刀で勝負すること。
- 1の意が転じて、張り合って立ち向かうこと。両者の力が拮抗していること。
- 槍のかぶら巻から口金までの柄の部分。(※「かぶら巻」は敵の血が流れて手元にかからないようにするための装備で「血溜(ちだまり)」ともいう。)
「太刀」は長くて大きな刀、「打つ」は武器を使って攻撃を加えること、叩くことなどの意味です。
「太刀打ち」の使い方
現代では、刀剣や槍を使って戦う機会はあまり多くないため、「太刀打ち」は主に2の意味で使われています。ただし、肯定の形ではなく、「太刀打ちできない」のように否定の言葉をともなって使うことがほとんどです。
「太刀打ちできない」とは?
「太刀打ちできない」とは、競争などの際に、両者を比べると実力で大きな差があり対等に競えないさまを表す言い回しです。
例えば、スポーツの試合をした時に、片方が強すぎるために、一方的な試合になって大差が付いてしまう場合が挙げられます。
また、一方の人があまりに素晴らしい能力や美貌、魅力などを持っていることで、もう片方の人が見劣りしてしまう場合にも「太刀打ちできない」と表すことがあります。
「太刀打ちできない」の例文
【一方が強すぎる】
- 初戦で当たるのは強豪校で、我がチームではとても太刀打ちできない。
- 気の毒だが、去年の覇者と対戦する選手はきっと太刀打ちできないだろう。
- プロの世界では太刀打ちできないと思われていた新人選手が大活躍をして、番狂わせを起こした。
【片方が見劣りする】
- 日を追うごとに成長し結果を残す新入社員に対して、いつまでも芽が出ない自分はもう太刀打ちできないと劣等感を抱く。
- 周囲に媚びを売るのが得意なだけのAさんは、美人で賢いと評判のBさんには太刀打ちできないだろう。
- 子供の無垢な笑顔は魅力に満ち溢れていて、どのような大人でも太刀打ちできないね。
「太刀打ちできない」の類語
歯が立たない
「歯が立たない」(はがたたない)とは、相手が予想以上に実力があり対抗できない、あることをしようとしても自分の技量を超えるので取り組むのが難しいという意味の言い回しです。もともとは食べ物などが固くて噛むのが難しいことから来ています。
【例文】
- 交流試合をしたが、相手の方が手強くて全く歯が立たなかった。
- 難関校の過去問を解こうとしたが、非常に難しく歯が立たない。
足元にも及ばない
「足元にも及ばない」(あしもとにもおよばない)とは、相手の足元にも寄り付くことができないというところから、一方が非常に優秀で両者の実力の差がありすぎて比べものにならないことをいいます。
【例文】
- Aさんは謙遜して、「私なぞ、Bさんの足元にも及びませんよ。」と言った。
- お弟子さんも優秀な方だが、まだまだ師匠の足元にも及ばないのではと評されている。
「刀」が元となった言い回し
「太刀打ち」と同じように、「刀」が元になった言い回しを紹介します。
鍔迫り合い・鍔競り合い
「鍔迫り合い/鍔競り合い」(つばぜりあい)とは、お互いに剣を打ち合った時に鍔(刀の持ち手部分と刃の間に挟んだ平たい鉄板)の部分で受け止めて押しのけようとすることです。
現代でも剣道などでは見られる動きですが、日常生活で使う「鍔迫り合い/鍔競り合い」は、双方の力が拮抗して激しい勝負を繰り広げる意味を表すことがほとんどです。
【例文】
- 双方が鍔競り合いをしていてなかなか勝負の結果が出なかった。
- セパ両リーグでは全ての球団が鍔迫り合いをして、順位の決定が最終戦までもつれこんだ。
鞘当て
「鞘当て」(さやあて)とは、些細なことから起こる喧嘩です。もともとは、武士同士が道で行き違う時に、刀の鞘(刀身を保護するための筒型の入れ物)の先が触れてしまったのを咎め合ったり、一方が喧嘩を売ったりして争い事が起こったことから来ています。
また、「恋の鞘当て」は、好きな人を巡って思いを寄せる恋敵同士が争うことです。
【例文】
- 犬猿の仲の二人は、いつもの通りちょっとしたことで鞘当てをして、周囲を呆れさせたようだ。
- AさんとBさんは、学生時代に意中の女性について恋の鞘当てをした。しかし、結局その女性はCさんの奥さんに収まったということだ。