「先見の明」とは?意味や使い方をご紹介

「先見の明」とは、物事の予見力という意味で頻繁に使われる言葉です。この力のあるなしは人生を左右するともいえましょう。しかし、その由来となったエピソードを知るとびっくりするかもしれません。今回は、先見の明とは何を意味するのか、使い方・由来もまじえてご紹介します。

目次

  1. 「先見の明」とは?
  2. 「先見の明」の由来
  3. 「先見の明」の使い方
  4. 「先見の明」の類語

「先見の明」とは?

「先見の明」は、(せんけん・の・めい)と読みます。「せんけん」を「せんげん」「さきみ」、「めい」を「みょう」とするのは誤りですので、注意しましょう。

「先見の明」とは、物事が起こるよりも先に、その事態を見抜く見識将来のことを見通す知恵や賢さを意味する言葉です。「先見」は、字のごとく「先を見る」ことであり、「明」は、道理を見通す力や眼識を意味します。

人生のあらゆる局面やビジネスなどにおいて、「先見の明」があるかないかはきわめて重要です。それだけに、少々古めかしい言葉ながら現代でも頻繁に登場しています。

「先見の明」の由来

「先見の明」の由来は、中国の故事にさかのぼります。そのエピソードを知れば、かなり衝撃的で重たいものであることに驚くのではないでしょうか。『後漢書』に記された、三世紀の後漢王朝、魏の国での話です。

「先見の明」のエピソード

魏の君主・曹操は、楊脩という人物のふるまいに立腹し、彼を処刑します。その後、楊脩の父は、曹操に次のような思いを語ります。

息子の人格が将来の為政者に迷惑をかけるとして息子を殺した人物もいる。自分には先見の明がなく、息子を溺愛したことを恥じる、と。

息子を処刑した君主を恨むどころか、息子の愚かさを見抜けなかった自分を恥じた、という逸話には慄然(りつぜん)とするかもしれません。先を見通す力はそれほどに重要だということを伝える故事だといえます。

「先見の明」の使い方

先にご紹介した由来では、「先見の明」は人の人格やふるまいからその行く末を見る力でしたが、実際にはその類のものは相対的に判断されることも多く、極端な例といえましょう。「先見の明」がよく使われるのは、明確に結果がわかる世界においてです。

たとえば株の投資、消費者の動向をみての商品企画など、予想や分析の力が結果にダイレクトに反映する分野では「先見の明」は重要な資質として捉えられる傾向があります。

使い方においては、「先見の明がある」「先見の明がない」という言い回しが一般的です。他に、「先見の明によって」「先見の明を持つ」「先見の明に尽きる」「先見の明に長(た)ける」などの表現があります。

「先見の明」の例文

  • わが社が生産拠点を海外に移したことはきわめて先見の明があった、と経済界から大きな評価を受けた。
  • 創業家の三代目社長にはまったく先見の明がなく、投資はことごとく失敗して経営は傾いた。
  • 先行きが見えない時代だからこそ、先見の明を持つことはなによりも大切であろう。
  • 早々と家を持てたのは、ひとえに蓄財における夫の先見の明に尽きる。
  • 先見の明に長けた人物は、どんな分野でも成功する率が高い。

「先見の明」の類語

「先見性」

「先見性」は、将来どうなるかをあらかじめ見抜く力、ということを意味する言い回しです。「先見の明」よりも、「先見性」のほうが万人に伝わりやすい表現かもしれません。

【例文】:山田社長は、鈴木専務には先見性があるとして、副社長に抜擢することを発表した。

「慧眼」

「慧眼」(けいがん)とは、物事の本質を鋭く見通す洞察力、鋭くさとい眼力を意味する言葉です。「先見の明」が、将来を見通す力であることにくらべ、「慧眼」は、将来も含め、現在の状況についての状況の本質を見る力としても用います。

仏教用語では(えげん)と読み、一切の事物を空(くう)であると見通すことのできる智慧(ちえ)の目のことを意味します。(例文は割愛)

【例文】:劇団を主宰する中村氏は、わけても役者の才能を発掘する慧眼をもち、数多くの名役者を育ててきた。

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