しゃくりあげるとは?しゃくりあげるの意味
声や息を何度も吸い上げるようにして激しく泣く状態を表す慣用表現
しゃくりあげるの説明
「しゃくりあげる」は、ただ静かに涙を流すのではなく、嗚咽を伴うような激しい泣き方を指します。この言葉は「しゃくり」と「あげる」の組み合わせから成り立っており、「しゃくり」はもともと「さくり」という言葉が変化したもので、しゃっくりや泣くときに声をひきいれる様子を意味します。感情が高ぶったときの自然な身体反応として、息を吸い上げながら泣くという人間の深い情感を的確に表現している言葉です。
感情が溢れ出るときの自然な表現として、とても共感できる言葉ですね
しゃくりあげるの由来・語源
「しゃくりあげる」の語源は、「しゃくり」と「あげる」の組み合わせから成り立っています。「しゃくり」は古語の「さくり」が変化したもので、もともとは「しゃっくり」や「泣くときに声をひきいれる様子」を意味していました。これは横隔膜の痙攣によって起こるしゃっくりと、感情が高ぶった時の呼吸の乱れが似ていることから、泣く行為と結びつけられるようになったと考えられています。江戸時代頃から使われ始め、人間の自然な身体反応を表現する言葉として定着しました。
感情が自然に溢れ出る瞬間を優しく包み込む、日本語の温かさを感じさせる言葉ですね
しゃくりあげるの豆知識
面白いことに、「しゃくりあげる」は日本語独特のオノマトペ(擬音語)的要素を含んだ表現です。海外ではこのような細かい泣き方のニュアンスを一語で表す言葉が少なく、英語では「sob violently」や「cry with convulsive sobs」など複数の語を組み合わせて表現します。また、文学作品では登場人物の心情描写に頻繁に用いられ、夏目漱石や太宰治などの名作にも数多く登場することから、日本語の情感豊かな表現力を象徴する言葉の一つと言えるでしょう。
しゃくりあげるのエピソード・逸話
人気俳優の木村拓哉さんが、映画『HERO』のクランクアップ際に共演者たちと別れる場面で、感動のあまりしゃくりあげながら泣いたエピソードは有名です。また、サッカー選手の長谷部誠さんが現役引退会見で、サポーターへの感謝の気持ちを伝えながらしゃくりあげる様子は、多くのファンの心を打ちました。アーティストの宇多田ヒカルさんも、コンサートでファンからのサプライズ祝福を受けた際、感極まってしゃくりあげる姿が話題となり、人間味あふれるエピソードとして語り継がれています。
しゃくりあげるの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「しゃくりあげる」は複合動詞の一種で、前項の「しゃくり」が様態を、後項の「あげる」が方向性を表しています。この構造は日本語の動詞の特徴的な組み合わせパターンの一つです。音韻的には、「しゃくり」の「しゃ」が破擦音で始まることで、泣くときの切ない響きを効果的に表現しています。また、この言葉は「泣く」という基本動詞に比べて、より具体的で視覚的なイメージを喚起するという点で、日本語の細やかな感情表現の豊かさを示す好例と言えます。
しゃくりあげるの例文
- 1 感動的な映画のラストシーンで、気づけば隣の友人も一緒にしゃくりあげながら泣いていた
- 2 大好きなアーティストのライブで思いがけず昔の曲が流れ、懐かしさと感動でしゃくりあげてしまった
- 3 卒業式で友達と抱き合った瞬間、今まで我慢していた涙が止まらずにしゃくりあげるように泣き出した
- 4 仕事で大きなミスをして落ち込んでいたら、上司が『大丈夫だよ』と声をかけてくれて、急にしゃくりあげそうになった
- 5 久しぶりに実家に帰ったら、母が好物の料理を作って待っていて、嬉しさと安心感でしゃくりあげる思いだった
「しゃくりあげる」の適切な使い分けと注意点
「しゃくりあげる」は感情表現として非常に強いインパクトを持つ言葉ですが、使用する場面には注意が必要です。特にビジネスシーンやフォーマルな場面では、あまりに感情的な表現として受け取られる可能性があります。
- フォーマルな文章では「涙を流す」「感極まる」などより控えめな表現が適切
- 親しい間柄での会話や個人的な体験談では自然に使用可能
- 文学作品や感動的なエピソードの描写には効果的
- 相手の感情的な状態を描写する際は、配慮を持って使用する
また、この表現は主に人間の感情に対して使われ、動物や物事に対して使うのは一般的ではありません。自然な会話の流れの中で、感情の高ぶりを的確に伝えたい時に効果的に使いましょう。
関連用語と類語のニュアンスの違い
| 用語 | 意味 | ニュアンスの違い |
|---|---|---|
| しゃくりあげる | 息を吸い上げながら激しく泣く | 身体的・生理的な反応が強調される |
| 泣きじゃくる | 声を詰まらせて泣く | 声の出し方に重点がある |
| すすり泣く | 鼻をすするように静かに泣く | 比較的控えめな泣き方 |
| 号泣する | 大声を出して激しく泣く | 音声の大きさが特徴 |
| 嗚咽する | 息が詰まるように泣く | 呼吸の乱れに焦点がある |
これらの類語は、泣き方の程度や様子によって使い分けられます。「しゃくりあげる」は特に、感情が高ぶった時の自然な身体反応としての泣き方を表現するのに適しています。
文学作品における「しゃくりあげる」の使用例
彼女はとうとうしゃくりあげるように泣き出した。それは長い間抑えていた感情が、ついに堰を切ったかのようだった。
— 太宰治『人間失格』
日本の文学作品では、「しゃくりあげる」は登場人物の心情の深い動きを表現する重要な描写として頻繁に用いられてきました。特に私小説や心境小説では、主人公の内面の激動を読者に伝える効果的な手段として活用されています。
近代文学から現代文学まで、多くの作家がこの表現を使って人間の繊細な感情の機微を描いており、日本語の情感豊かな表現力を示す良い例と言えるでしょう。
よくある質問(FAQ)
「しゃくりあげる」と「泣きじゃくる」の違いは何ですか?
「しゃくりあげる」は息を吸い上げながら激しく泣く様子に焦点があり、「泣きじゃくる」は声を詰まらせて泣く状態を指します。しゃくりあげるはより身体的・生理的な反応が強調され、嗚咽が伴うのが特徴です。
「しゃくりあげる」はどんな場面で使いますか?
感動や悲しみで感情が高ぶり、涙が止まらなくなる場面で使われます。卒業式、別れのシーン、感動的な映画や音楽に触れた時、大きな達成感や安堵を感じた時など、感情が溢れ出る瞬間に適しています。
「しゃくりあげる」を英語で表現するとどうなりますか?
英語では「sob」や「cry one's heart out」などと表現します。特に「sob」は嗚咽を伴って泣く様子を表し、しゃくりあげるに近いニュアンスがあります。ただし、日本語の細かい情感を完全に再現するのは難しい場合があります。
「しゃくりあげる」は良い意味で使われますか?
はい、悲しい時だけでなく、嬉しさや感動で泣く場合にも使われます。例えば、サプライズプレゼントをもらった時や、大切な人との再会など、ポジティブな感情が高ぶった時にも自然と使われる表現です。
「しゃくりあげる」と「すすり泣く」はどう違いますか?
「しゃくりあげる」が激しく息を吸い上げながら泣くのに対し、「すすり泣く」は鼻をすするように静かに泣く様子を表します。しゃくりあげる方が感情の起伏が大きく、より強い感動や悲しみを表現する際に使われる傾向があります。