「しゃくりあげる」とは
「しゃくりあげる」とは、「何度も声や息を吸い上げるように激しく泣いている状態」を表す慣用表現です。シクシクとした泣き方ではなく非常に激しい嗚咽(おえつ)を伴うもので、人が泣いているさまの程度としては激しいレベルに位置付けられます。
「しゃくり」の意味
「しゃくりあげる」は、「しゃくり」と「あげる」から構成されている言葉です。今回は、「しゃくり」に焦点をあてて見ていきましょう。
「しゃくりあげる」の「しゃくり」は「さくり」が音変化(ある言葉の音の発音が時代の経過とともに変化していくこと。音韻変化とも言う)したもので、漢字で書くと「噦り・吃逆」です。
これには「しゃっくり(横隔膜の不時の収縮によって、空気が急に吸い込まれる時に発する特殊な音声)のこと。泣くときに声をひき入れるさま」という意味があります。
「しゃくりあげる」の使い方
- 母親はしゃくりあげる子どもの様子を見て抱きかかえた。
- 選手たちは決勝戦で惜敗し、肩を震わせしゃくりあげていた。
- 彼女は悲しみのあまり手に顔を押しつけてしゃくりあげている。
- 私は、友だちの霊前で弔辞をしゃくりあげながら読むしかできなかった。
「しゃくりあげる」の類語
泣き方を表す言葉にはさまざまなものがあります。ここでは、「しゃくりあげる」と似た意味やニュアンスをもつ泣き方を紹介します。
「泣きじゃくる」
「泣きじゃくる」とは、「声や息を吸い上げて激しく泣いている」ことです。非常に激しい泣き方をする点で、「しゃくりあげる」と同様の意味となり類語といえます。
[例文]
- 子どもはただ泣きじゃくるだけで話そうとしない。
- 彼は別れに際して泣きじゃくるだけだった。
「すすりあげる」
「すすりあげる」とは、「すすりながら泣く。鼻汁をすすって吸い込む」ということです。つまり、「鼻汁をすすりながら泣くさま」を表しています。
泣き方のレベルは「しゃくりあげる」ほど強くありませんが、鼻汁をすすって吸い込むことに関しては「しゃくりあげる」とも近いニュアンスをもちます。
[例文]
- 隣の部屋からは友だちのすすりあげる声が聞こえてきた。
- 風邪をひいた子どもは鼻汁をすすりあげている。
「泣き伏す」
「泣き伏す」とは、「悲しみによってうつぶせになって泣く」ことです。「うつぶせになって泣くほど酷い悲しみ」を表しています。「酷い泣き方」の点からすると、泣き方のレベルは「しゃくりあげる」と同程度であり、類語に属するものといえるでしょう。
[例文]
- 父親の訃報を聞いて悲しみのあまり床に泣き伏した。
- 泣き伏すほどの悲しみは幾度もあってはいけない。
「泣きしきる」
「泣きしきる」とは、「泣き続ける」ということで、漢字表記は「泣き頻る」です。「頻」は音読みでは「ひん」で、「頻繫」や「頻出」のなどの熟語を構成します。
また、「頻」の字は「しきりに。しばしば」という意味をもち、「泣く」と合わさって「継続的に泣くさま」を表現しています。
[例文]
- 赤ん坊は空腹のためただ泣きしきるだけだ。
- 泣きしきる子どもをなだめることは難しい。