「代え難い」の意味
「代え難い」(かえがたい)とは、他の人や物で代わりをするのは難しい・交換するのは難しいということです。言い換えると、他の物での代用は困難である、他の人が代理を務めることは容易ではないということになりますね。
「代え難い」の「代え」は代わりの物、代用すること、「難い」は文語的な表現で、むずかしい、簡単ではない、困難であるという意味です。
「代え難い」の使い方
「代え難い」の対象となるのは、人や物です。「代えが難しい」ことをいうので、その人や物がなければ成り立たないことになります。人物ならある物事ができる唯一の人、非常に優秀で、他の人にない能力や技術が備わっていると考えられます。
物に対して「代え難い」と使うなら、他の物に十分な機能が備わっていない場合もありますね。また、新規に用意したり交換したりするのが難しい希少な品や、使う人の思い入れが強い物を指す場合もあるでしょう。
「代え難い」の例文
- Aさんが退社するんだって?あの人は他に代え難い存在なのに…。
- ファミコンはレトロゲーム好きな私にとって代え難い宝物だ。
- Bさんは営業成績優秀で、他の人に代え難い社員だ。
- 初月給で買ったプレゼント、他のものに代え難いと両親に喜んでもらえた。
「代え難い」を使った言い回し
「何ものにも代え難い」
「代え難い」を使った言い回しに「何ものにも代え難い」という語があります。これは、「どのような物(人)にも代えられない」という意味です。
「何もの」はひらがな表記でかまいません。ただし、漢字を使う場合、物を対象とするなら「何物にも代え難い」、人を対象とするなら「何者にも代え難い」と表記することもできます。
【例文】
- 父の日に子供からもらったプレゼントは何物にも代え難い。
- 彼女は大切な存在で、何者にも代え難いです。
余人を以て代え難い
「余人を以て代え難い」(よじんをもってかえがたい)とは、その人以外の人間が代わりを務めるのは難しい、言い換えると、その人しかできないことを言います。「余人」はその人以外の人という意味であり、「以て」は語調を強める語です。
【例文】
- Cさんのような特殊技能を持っている人は、余人を以て代え難い。
- 20歳で素晴らしい打撃の成績を持つ、東京ヤクルトスワローズの村上宗隆内野手は余人を以て代え難い存在だ。
「代え難い」の類語
かけがえのない
「かけがえのない」とは、代わりとなる人や物がない、取り替えがきかない大切な人や物という意味です。漢字表記は「掛け替えのない」ですが、ひらがな表記が一般的です。代わりとなるのが難しい「代え難い」と似ている言い回しですね。
【例文】
- 失ってみて初めて分かる。彼がかけがえのない人であったと…。
- おばあちゃんにとって、子供の頃に撮った写真はかけがえのない宝物だということだ。
唯一無二
「唯一無二」(ゆいいつむに)とは、この世にただ1つしかなく2つとはない、ずば抜けて優秀で並ぶことはないという意味の四字熟語です。いわば、「他に代わりのものがない」ことになり、「何ものにも代え難い」という言い回しと似ていますね。
それぞれの熟語「唯一」も「無二」も2つとはないということで、同じような意味の語を重ねて強調しています。
【例文】
- 「このような作品は唯一無二だ。本当に素晴らしい。」と審査員から好評だった。
- お家に伝わる掛け軸は、著名な作家の唯一無二の作品です。どうぞ大切になさってください。
「代え難い」反対に近い表現
代替
「代替」(だいたい/”だいがえ”は本来は誤読)は、代わりの物に替えることです。人には使いません。「代替する/できる」とすれば、「代え難い」とは反対の意味に近いでしょう。
「代替」の身近な例として、スマホが破損してメーカーに修理を依頼している間に、電話会社から代わりの機種「代替品」を貸してもらうことがありますね。他に、当初のものとは別のアイディアを提案する「代替案」などのように使います。
【例文】
- リースの(賃貸した)パソコンが劣化して動きが悪くなり、代替品を用意してもらった。
- 当初の提案では皆が納得行かず、担当者に代替案を考えてもらい、ようやく許可が出た。