「背筋が凍る」とは
皆さんは、怖い話を聞いたり、「ヒヤリ」とする体験をした時に「背筋が凍る」思いをしたことはありませんか?また、背筋がゾクッとしたことがありませんか?
「背筋が凍る」は、このような様子から、「怖ろしさやとても嫌なことからぞっとする」ことを意味する慣用表現です。
「背筋」の意味
「背筋」の読み方には、「せすじ」と「はいきん」があります。それぞれの読み方によって意味も違ってきます。
① [せすじ]
- 背中の中心線。または、背骨の外側のくぼみとなった部分。
- 服の背骨にあたる部分。
「背筋が凍る」の「背筋」はこの①の1の意味です。
「凍る」の意味
- 怖さや寒さにより、体が硬くなり身動きがとれなくなること。(怖ろしい体験で体が凍る)
- 水などの液体が低温により固体となること。(川が凍る)
- 外の気温がとても冷たく感じられること。(真冬の朝の凍った空気)
- コンピューターが作動しなくなること。フリーズ。
「背筋が凍る」の「凍る」はこの1の意味です。
「背筋が凍る」の使い方
「怖いものへの驚き」の意で使う
- 友だちからとても怖い話を聞いて背筋が凍りました。
- 肝試しで暗い道を一人で歩くと背筋が凍る思いです。
- 夜に背筋が凍る思いで山道を降りてきました。
「嫌悪感をもよおす出来事」への表明で使う
- 自動車にぶつかりそうになり背筋が凍るようでした。
- 会社へ遅刻した夢をみました。背筋が凍る思いで目が覚めました。
- わずかなところで大惨事から逃れ背筋が凍るようでした。
「背筋が凍る」の類語
「背筋が凍る」の類語には、同じ「背筋」を使うものと、別の言葉からなる表現があります。いずれも似通った言葉ですが、程度の違いがあります。見ていきましょう。
「背筋が寒くなる」
「背筋が寒くなる」は、「恐怖によってぞっとする。身の毛がよだつ」という意味です。「背筋が凍る」と同様の意味ですが、ニュアンスからして「寒くなる」よりも「凍る」の方が恐怖の程度が大きいのではないでしょうか。
[例文]
- 最近は背筋が寒くなるような話ばかりです。
- 怪談話を聞いて背筋が寒くなってきました。
「背筋が冷える」
「背筋が冷える」は、「恐怖により、背中が冷たくなってくる」という意味です。この言葉も「背筋が凍る」と同様の意味をもち、類語といえます。恐怖の程度は「背筋が凍る」の方が大きいです。
「悪寒が走る」(おかんがはしる)
「悪寒が走る」とは、「発熱により背中がぞくぞくとして寒気がする」ことです。背中に寒気がするさまを「走る」という言葉で表しています。
風邪などの病気によって体に感じる症状のことであるため、「背筋が凍る」とはニュアンスが違ってきますが、気分が悪くなるさまに喩えて使われることもあります。
[例文]
- 数日前から体調を崩し今日は悪寒が走る状態になってしまった。
- 悪寒が走ってきたので早めに医院に行って診察してもらいます。
「鳥肌が立つ」
「鳥肌が立つ」とは、「怖ろしいことや寒さによって肌にぶつぶつがでるさま」を表しています。この「肌にぶつぶつがでる現象」を鳥肌と呼びます。鳥肌は鳥の毛をむしったあとのようなさまのことです。また、とても感動した表現としても用いられます。
[例文]
- 絶壁に立って思わず鳥肌が立ちました。
- 彼女の素晴らしい演技には鳥肌が立ちました。
「血の気が引く」
「血の気が引く」は、「恐怖や驚きのために顔面が青ざめる」ことです。「背筋が凍る」と同じような意味ですが、こちらは顔面の変化を捉え、顔面から血の気がなくなることで怖さの程度を表しています。「血の気が失せる」とも言います。
[例文]
- 相手投手は最終回にピンチとなりみるみると血の気が引いていった。
- 大惨事を目の当たりにして血の気が引くばかりであった。