「まんざらでもない」とは?
「まんざらでもない」(満更でもない)とは、「必ずしも悪くない」という意味の言葉であり、「意外に良いさま」や「気に入ったさま」を婉曲的に(遠回しに)言う言葉です。
ある物事について「マイナスではない」と言うにとどまらず、むしろ「プラスである」と言い含める言葉であると捉えましょう。
「満更」とは
「満更」(まんざら)とは、「まったく」「まさに」「ひたすら」という意味の言葉(副詞)です。現代語では「まんざら~ない」のように打消しの語を伴うことが多く、「必ずしもそれと決まっているわけではさま」を表します。
具体的な使い方は、「まんざら悪い気はしない」「まんざら嘘ではなさそうだ」など。ただし、「まんざら」という言葉自体の由来ははっきりわかっていません。
「まんざらでもない」の使い方
「まんざらでもない」は、主に人の様子、表情、気持ちなどを指して、「少なくとも悪くは思っていないさま」や、「むしろ(意外と)良いと思っているさま」について使います。
「微妙だけど、まあダメというほどではない」という「許容」のニュアンスであることもあれば、積極的ではないにせよ「意外と良い、気に入った」という「好意的」なニュアンスであることもあり、両者の境は流動的です。
しかし、いずれにせよ肯定的な意味に傾いており、「本当はとても気に入っている」のに、それを素直に口にせずに「まんざらでもない」態度を取る人もいます。
例文
- 新人の部下に指導するのは大変な仕事だが、「先輩」と呼ばれて頼られるのは、まんざらでもない気分だ。
- 不幸な出来事で家や財産や家族を失う人々に比べたら、自分の人生はまんざらでもないと言えるのではないだろうか。
- いつも気取っている彼だが、異性からデートに誘われたときには、まんざらでもない顔を浮かべていた。
「まんざらでもある」とは言わない
「まんざらでもない」は副詞の「まんざら」が「でもない」で打ち消されて一体となった慣用表現ですので、「まんざらだ」や「まんざらでもある」とは言いません。
もし、「まんざらでもない」の反対の意味を表現したい場合は、遠回しにではなく直接に「好きだ」「気に入った」などと言うのがよいでしょう。