「気丈に振る舞う」とは
通夜や告別式で、喪主であるのに涙や疲れを見せずにかいがいしく動いている方を見たことはありませんか?「~は気丈(きじょう)に振る舞っている」というフレーズを耳にすることも多いのではないでしょうか。
このように、「気丈に振る舞う」は、「気持ちがしっかりとしていること」または、「危険や災難がすぐそこにまで迫っている際にも落ち着いているさま」を表す慣用表現です。
「気丈に振る舞う」は、「気丈」と「振る舞う」から成り立っています。それぞれの意味を見ていきましょう。
「気丈」の意味
「気丈」とは、「平静さを保っていること」、または「危険や困難が迫ってきても落ち着いていること」という意味です。また、「株式などの相場がしっかりとしている」という意味も持っています。
「振る舞う」の意味
「振る舞う」は次のような意味を持っています。「気丈に振る舞う」の「振る舞う」は、この1の意味です。
- 体の動き。動作。(なれなれしく振る舞う)
- ごちそうをしたり、ふるまったりすること。(酒を振る舞う)
- わざわざ味わいやおもしろみが出るようにすること。
「気丈に振る舞う」の使い方
- 彼女は母の死にもめげずに気丈に振る舞っていました。
- 彼女は気丈に振る舞っていましたが、それも限界となり、涙があふれ出てきました。
- 彼は仕事で大きな痛手を負いながらも気丈に振る舞っていました。
- 身に覚えのない罪で逮捕されたが、気丈に振る舞って厳しいを取り調べに耐えた。
「気丈に振る舞う」の類語
「弱音を吐かない」
「弱音」は、「物事をやりとげようとする気力がなくなるさま」という意味です。つまり、「弱音を吐かない」とは、「気力をなくすようなことは言わない」ことです。強い意志を持つところが似通っています。
[例文]
- 彼は練習の厳しさにもめげず弱音を吐かなかった。
- 私は弱音を吐くこともなく修行に耐えています。
「肩肘をはる」
「肩肘(かたひじ)をはる」とは、肩や肘を高くしているさまを例えとして、「威張ったり、誇張したりする。気負うさま」という意味を持つ慣用句です。「気負う」点で「気丈に振る舞う」に似ていますが、自分を強く見せるさまに重点が置かれているためニュアンスが違っています。
[例文]
- あまり肩肘をはらずにリラックスしましょう。
- 彼は肩肘をはりすぎて思わねところで失敗してしまった。
「虚勢をはる」
「虚勢(きょせい)をはる」とは、「自分には十分な実力がないのに外見だけは実力があるように装っている」ことです。空威張り(からいばり)とも言います。
この言葉も自分を誇張する意味が強く、その点においてニュアンスが違っていますが、「外見を装う」という点では類語と言えるでしょう。
[例文]
- 彼は虚勢をはるばかりで本当の姿を見せない。
- 虚勢をはっているが内情は火の車であるようです。
「振る舞う」を使った言葉
「立ち振る舞い」
「立ち振る舞い」とは、①「人の日頃の行動やしぐさ」のことです。また、②「門出などを祝して出されるごちそうや宴会」という意味も持っています。
よく似た言葉に「立ち居振る舞い」という言葉があります。この言葉は「立ち振る舞い」と同じ①の意味を持っていますが、②の意味はありません。
[例文]
- 彼の立ち振る舞いは品格があって素晴らしいと思います。
- 立ち振る舞いの良し悪しによってその人の評判が決まります。
「振舞い酒」
「振舞い酒」とは、「慶事(けいじ:お祝いごと)の際に飲んでもらう酒」という意味です。また、慶事に限らず、葬式の際に出される酒も振舞い酒と言われています。
[例文]
- 故郷に帰省した際、お祭りで振舞い酒をいただきました。
- 振舞い酒をいただけるような以前の生活に戻ってほしいものです。
「振舞水」
「振舞水」とは、「夏の暑い盛りに飲料水を入れた桶などを街の通りに置いて、自由に飲んでもらう水」のことです。かつては、夏の風物詩となっていましたが、近年は見かけなくなりました。また、晩夏を表す季語にもなっています。
「大盤振る舞い」
「大盤振る舞い」とは、「気前よく人に物を与えたり、盛大にごちそうをする」ことを表しています。元は「椀飯振舞」(おうばんぶるまい)で、「椀」に盛ったご飯をすすめるという意味です。それが、「大盤」との混同や派生を経て現在の言葉になったものと言われています。