「七面倒臭い」とは
「七面倒臭い」(しちめんどうくさい)とは、「面倒臭い」を強調した言葉です。その意味は、「手数がかかってとても煩わしい。大変やっかいだ。」
「面倒臭い」が頂点に達した様子を表現するために、「七」という語をつけ「面倒臭い」にインパクトをつけた慣用表現です。
「七面倒臭い」を分解してみると
「七面倒臭い」は、「七」、「面倒」、「臭い」の三つの語から成り立っています。それぞれがもつ意味を見ていきます。
「七」の意味
「七面倒くさい」の「七」は、もともとは「しち」ではなく「ひち」。「ひち」は接頭語として言葉にくっついて「程度がはなはだしくて気に入らない」という意味をもたせています(「七」の字を当てるのは当て字であり、字自体に意味はないと考えられています)。
他に「ひち」を伴う言葉としては、「ひちくどい」「ひちむずかしい」「ひちやかましい」などがあります。
「面倒の意味
「面倒」はさまざまな意味をもっています。大きく分類すると次の通りです。
- 手数がかかってとても煩わしいこと。(面倒な仕事。面倒な人だ。)
- 世話や厄介。(子どもの面倒をみる。)
- 見苦しいこと。
「七面倒臭い」の「面倒」は1の意味です。
「臭い」の意味
「臭い」も「面倒」と同様にさまざまな意味をもっていますが、主なものは以下の通りです。
- においがする。そのようなにおいがする。(汗臭い。ガス臭い。)
- いかにもそのように感じられる。(素人臭い。インチキ臭い。)
- 言葉の意味を強めること。(面倒臭い。ばか臭い。)
「七面倒臭い」の「臭い」は3の意味です。
「七面倒臭い」の使い方
- 役所で行う手続きはどうして七面倒臭いことが多いのでしょうか。
- 今回の試験の範囲は広すぎてあまりにも七面倒臭いことばかりです。
- 彼の話は七面倒臭い内容が多くうんざりしています。
- 行政への給付金請求は七面倒臭く簡単に請求できません。
- 七面倒臭いことばかり言わずに地道に努力をすることも大切です。
「七面倒臭い」の由来
「面倒」の語源をたどってみると、かつては意外なことに感謝の意を表す言葉だったという説があります。
それが変化し、感謝する際に心の中で起こる「恥ずかしさ」「見苦しさ」「決まりの悪さ」などが強調されました。そして、それがいつしか「面倒」の意味のひとつとなったと考えられています。
それに、「しち」という強調を表す接頭語が結びつき、「面倒臭さ」を際立たせる慣用表現となりました。
「七面倒臭い」の類語
「難儀」
「難儀」とは、「苦労すること。迷惑なこと。処理するのがむずかしいこと」という意味です。「苦労や迷惑というようなさま」という意味が「七面倒臭い」と似通っています。
[例文]
- 山の中の一軒家まで行くことはとても難儀です。
- 彼は難儀な話を持ち込んできた。
「厄介」
「厄介」とは、「扱いに手数がかかり煩わしいこと。面倒をみること。他人の家に寄食すること」という意味です。
[例文]
- どうも厄介なことに巻き込まれそうです。
- いつまでも親の厄介になってはいられません。
「億劫」(おっくう)
「億劫」とは、元は仏教語で「とても長い時間」を表している言葉です。転じて「面倒で気が進まないさま」という意味をもつ言葉となりました。
[例文]
- 冬になり朝が寒いため毎朝起きることが億劫です。
- 寝不足がたたって今日は会社へいくことが億劫です。
「煩わしい」
「煩わしい」とは、「心を悩ましてうるさいこと。込み入って複雑であること」または、「体調がすぐれないこと」という意味です。
[例文]
- 引っ越してきたばかりで近所付き合いが煩わしいです。
- 許可されるには煩わしい手続きがあります。