「お墨付き」とは
「お墨付き」には、以下の意味があります。
- 大名や将軍が臣下に与えた、花押つきの文書のこと。
- 権威者や権力者からの保証または公認のこと。
もともとは、1の文書のことを指しました。それが派生し、現代においてはもっぱら2の意味で使われています。
「花押」とは
花押とは、室町・江戸時代ごろに用いられた署名代わりの記号や符号のことです。はじめは実名をもとにした草書体の署名でしたが、やがて独創性を帯びデザインのようになりました。現代で言えばサインに近いかもしれませんね。
当時、将軍らは家来に与えた文書にこの花押を付していました。花押は黒色の墨で書かれていて、墨付きとも呼ばれていました。ここから「お墨付き」という言葉が生まれたのです。
「お墨付き」の使い方
「お墨付き」は、「将軍が臣下に対して与えた文書」であったことから、基本的に上の立場の人から目下の人に対して与える保証という意味合いで使われます。ですから、「部下から上司にお墨付きを与える」とするのは誤りです。
現代ではカジュアルな使い方も見受けられ、「上司から部下に」、「先生から生徒に」、「消費者からお店に」などさまざまな間柄の中で用いられることがあります。
例文
- 彼の手術の腕は、院長のお墨付きを得ている。
- この器は、師匠からお墨付きをいただいた作品です。
- 一般消費者が美味しいと認めた商品だけにお墨付きが与えられています。
「お墨付き」の類語
折り紙付き
「折り紙付き(おりがみつき)」とは、「人やものの価値や定評が保証されていること」です。端的に言えば「保証つき」ということですね。
「お墨付き」と似た意味であると言えますが、「折り紙付き」は誰が保証しているかということには重きが置かれていません。特定の人物からの保証ではなく、複数人の「総意」のようなニュアンスでも使うことがあります。
【例文】
コンクール優勝おめでとう。君の作品は折り紙付きだね。
太鼓判を捺す
「太鼓判を捺す(たいこばんをおす)」とは、「絶対に間違いない、確実だという保証」を表します。太鼓のような大きい判を捺すことが転じて、現在の意味が生まれました。ただし、悪い意味での保証には用いないことに注意が必要です。
【例文】
映画通の彼が太鼓判を捺した作品だから、間違いなく見応えがあるだろう。