「身にしみる」とは
「身にしみる」とは、「深く感じる。秋の冷気が痛切に感じられる」という意味です。「体にしみわたるほどしみじみ感銘するさま」を「身にしみる」というフレーズで例えた表現です。「身に染みる」「身に沁みる」という漢字の表記もあります。
では、「身にしみる」を構成する「しみる」とは、どのような意味を持っているのでしょうか。
「しみる」とは
「しみる」とは、「液体や気体が他の物にうつって次第に深く広がっていく。また、その影響を受けて痛みを感じる」ということです。また、その他には、「心にしみじみと感じる。好ましくない影響を受けて、その傾向を持つようになる。そまる」という意味も持っています。
「しみる」は、「染みる」「沁みる」「凍みる」「浸みる」「滲みる」というふうに漢字表記もされます。
【例文】
- この漬物は味がしみてきて食べごろになってきた。
- 旅先での親切が身にしみてわかってきた。
- けがをしたところを消毒したら、消毒薬がしみて痛かった。
「身にしみる」の使い方・例文
- 4月から一人暮らしを始めてみると親の有難みが身にしみてわかった。
- 秋風が吹くようになってきました。寒さが身にしみます。
- 今日の試合も大敗してしまった。チームを去った選手の存在の大きさが身にしみてわかってきた。
- この寒空の中、薄着で外出して、思わず寒さが身にしみてきました。
- 食糧供給への懸念(けねん)が叫ばれる中、国内での自給の重要性が身にしみて理解できるようになってきた。
「身にしみる」の類語
「骨身にしみる」
「骨身にしみる」とは、「体のしんまで感じる。嬉しさや苦しさを深く心身に感じる」ことを表しています。「骨身にこたえる」とも表現します。
【例文】
- 今日の寒さは骨身にしみます。
- 恩師から受けた忠告が骨身にしみました。
「心底」
「心底(しんそこ)」とは、「物事のいちばん奥底やいちばん深いところから感じる」という意味です。「心の奥底から感じるさま」を表しています。
【例文】
- 一人暮らしを始めて親の有難さを心底感じています。
- チームから上級生が去った。上級生の偉大さを心底感じました。
「痛切」
「痛切」とは、「身にしみて強く感じること」という意味です。「痛切に感じる」というフレーズでよく使われ、「身にしみる」と同様の意味を持っています。
【例文】
- 予選で敗退し、実力不足を痛切に感じた。
- 大学受験に失敗して日頃からの勉強の必要性を痛切に感じた。
「ひしひし」
「ひしひし」とは、「強く身に迫るさま。切実に感じるさま」や「すきまのないさま」という意味です。「迫る」様子や「切実さ」が「身にしみる」に似たニュアンスを感じさせます。
【例文】
- 社長に就任して、その責任の重さをひしひしと感じました。
- わが国にはひしひしと感じるほどの危機が迫っています。
「身」を使った言葉
「身」を使った言葉はたくさんあります。その中からいくつか見ていきます。
「身につまされる」
「身につまされる」とは、「他人の不幸などが、自分の境遇や立場と思い合わさって切実に感じられること」という意味です。「他人の不幸がわが事のように思われるさま」を表現しています。
【例文】
- 今日は身につまされるような事件が多発した。
- 彼の苦労話を聞いて身につまされる思いです。
「身に覚えがある」
「身に覚えがある」とは、「自分自身がそのことをしたという記憶があること」という意味です。「わが身に思いあたる記憶があるさま」を表現しています。
【例文】
- 彼女が悲しんでいる原因は自分にあると言われている。そういえば、身に覚えのあることだ。
- 自動車の設計過程におけるミスが発見された。エンジニアとして言われれば身に覚えがあることです。
「身が持たない」
「身が持たない」とは、「体力の限界を超えている。健康を維持できない」という意味です。
【例文】
- 毎日残業続きではとても身が持たない。
- 試合の終了後、すぐに練習では身が持たない。
「身を削る」
「身を削る」とは、「大変な苦労をしたり、ひどく心を痛めたりする」という意味です。「苦労や心配で身がやせるさま」を「身を削る」というフレーズで表現しています。
【例文】
- 母親は遭難した子どもが発見されるように身を削る思いで祈っている。
- 私は父親の病気が発覚して身を削るほど心配した。