「時間を要する」の意味
「時間を要する」(じかんをようする)とは、時間がかかることです。この場合の「要する」には必要とする、求めるという意味があります。
「時間を要する」の使い方
「時間を要する」は、どちらかと言うと堅い丁寧な言い回しです。ビジネス用語や目上の方に対して使われます。「お時間を要します」という言い方もできます。
「もう少し時間がほしい」「日数がかかるので理解してもらいたい」「お待たせしてしまう」といったニュアンスを含み、お詫びの言葉とともに用いることもあります。
時間がかかる・待たせる
何か仕事の依頼を受けたり、頼まれごとがあった場合に、作業の手間が複雑だったり、抱えている仕事が多すぎたりしてすぐにはできないことがあります。「時間を要する」を使って、時間がかかること、相手に待ってもらいたいことを丁寧に伝えられます。
【例文】
- 資料を作成するのに時間を要しますが、よろしいでしょうか。
- 修理を終えるまでに時間を要しますので、おかけになってお待ちください。
時間や日数に余裕を持ってほしい
仕事を手早く済ませようとしても、何らかの事情で難しいと予想されることがあります。相手に時間や日数に余裕を持ってもらいたいことを伝えるために、「時間を要する」を使えます。
【例文】
- 新型肺炎の影響で、マスクを確保するには時間を要します。
- 時間を要しますので、定期検査を受ける方は事前のご予約をお願いいたします。
当初の予定よりも延期
商品の予約や、約束ごとなどの決められた期日があっても、何らかのトラブルでやむを得ず延期する場合もあります。当初の予定よりも延ばさなくてはいけない場合に、「時間を要する」で相手に理解を求めることも可能でしょう。
【例文】
- 申し訳ございません。部品の供給が遅れており、ゲーム機の販売は当初よりも時間を要することになりそうです。
- 機械のトラブルで時間を要するため、次回の納品は未定です。
「時間を要する」の類語
手間取る
「手間取る」(てまどる)は、予想した以上にかなりの時間がかかることをいいます。「手間」は、仕事や作業をするのにかかる時間や労力のこと、「取る」は、ここでは時間を費やすことです。「時間を要する」よりも口語的な表現で、日常会話でも多く用いられます。
【例文】
- 仕事に手間取って、デートの約束に遅れてしまった。
- 出かける前に、介護が必要な家族の支度をするのに手間取ることが多い。
一朝一夕にはできない・一朝一夕にはいかない
「一朝一夕にはできない(いかない)」は、短い時間では難しい、できないといった意味合いです。「一朝一夕(いっちょういっせき)」とは、ひと朝とひと晩のことで、わずかな期間、短い時間を表します。同じような意味の熟語を重ね、非常に短い時間であることを強調しています。
多くは「一朝一夕」に「~ない」というように打ち消しの言葉をともなって、わずかな時間ではできないことを表す使い方をします。「時間を要する」と同じような意味合いです。
【例文】
- 「ゲームの攻略法を書け」と言われても、こんな膨大なステージがあるのだから一朝一夕にはできないよ。
- 今から手作りのマスクが必要だと言われても、一朝一夕にはいかない。
おいそれとはいかない
「おいそれとはいかない」は、簡単に物事をすますことはできないといった意味合いです。「おいそれ」とは、「おい」という感動詞で相手に呼びかけ、「それ」という代名詞で相手が短い時間で応答する言葉です。
後ろに「いかない」という打ち消しの言葉がついているので、呼ばれて簡単に受け答えをするようにはいかない、つまり、即座にはできない、時間がかかるというニュアンスを含んでいます。「おいそれと~するわけにはいかない」といった使い方も見られます。
【例文】
- 急にやれと言ったって、おいそれとはいかないよ。
- 当日中に予約されても、おいそれと引き受けるわけにはいかないよ。