「発破をかける」の意味
「発破をかける」(はっぱをかける)の意味は以下の2つです。
- 爆薬(「発破」のこと)を仕掛けて爆破させること
- 爆破の音が非常に大きく激しいことから派生して、相手にわざと力強く荒っぽい言葉をかけ気合を入れること
「発破をかける」の使い方
①爆破する
「発破をかける」は、大がかりな土木工事や鉱山の採掘などで、地盤や障害物など大きな物を破壊する際に使います。
【例文】
- トンネル工事のために、山に発破をかけた。
- 石炭の採掘のため、岩盤に発破をかけたそうだ。
②気合を入れる
「発破をかける」は、現在、相手に気合を入れて激励する意味で使われることが多くなっています。叱りつけるような大きな声や厳しい言葉で、弱気になっている相手の気持ちを奮い立たせるのが目的です。
ただし、あまりにも落ち込んでいる相手に対して「発破をかける」と余計にやる気を無くさせたり、惨めな思いをさせたりする場合があります。相手の性格や状態を見極めて「発破をかける」か、優しく声がけをするか見極めが大切です。
【例文】
- 「お前はできないやつじゃない、頑張れよ」と後輩に発破をかけた。
- 営業成績が上がらない同僚に発破をかけたら、追い打ちをかけるんじゃないと上司にたしなめられた。
「発破をかける」の類語
鼓舞する
「鼓舞する」(こぶする)は、勢いづかせられるように励ますこと、気持ちを奮い立たせることです。いくさの勝利祈願の儀式で鼓(つづみ)を打ち鳴らして演奏して舞いを行うことで、自軍が良い結果を残せるように気持ちを励ますことから来ています。
「発破をかける」に似ていますが、「鼓舞する」には特に厳しい言葉をかけるといったことは含まれていません。また、「士気を鼓舞する」「自らを鼓舞する」のように、他人にも自分にも使えます。
【例文】
- グループの士気を鼓舞して、やる気を出させる。
- 相手に怖気づきそうだったが、自らを鼓舞して競技場に向かった。
活を入れる
「活を入れる」(かつをいれる)は、相手に刺激を与えて元気を出させること、気絶している人に柔術などの技をかけて息を吹き返させることです。あえて厳しい言葉をかけて勇気づけるなら、「発破をかける」と同じような意味で使えます。
「喝を入れる」は誤用です。「喝」は、大きな声で叱りつけ脅すことを言います。励ますとは真逆の意味ですので、間違えないように注意しましょう。
【例文】
- たるんでいる空気が目立つので、活を入れた。
- 意気消沈している人に活を入れてやる気を出させた。
- ショックで失神してしまった人に活を入れて意識を戻させた。
叱咤激励
「叱咤激励」(しったげきれい)は、叱りつけるように相手に厳しく当たり、やる気を出せるように励ますことです。
「叱咤」は、怒りの気持ちを表すように大きな声で叱りつけること、「激励」は、大いに励まして相手の気持ちを元気づけることです。「発破をかける」とよく似た意味の四字熟語ですね。
【例文】
- 部活を続けたくないという友人を叱咤激励して、練習に誘った。
- もうすでにその場から逃げたいという人に叱咤激励をしても、良い方向に向かうことはないだろう。
「発破をかける」の敬語
上司や先輩などの目上の方から「発破をかけられた」時、「荒っぽい言葉をかける」意味合いが含まれているので、他の敬意を表す言葉に言い換えた方が良いでしょう。発破を相手からの指導や教えととらえて「ご指導いただく」と表現できます。
「鞭撻」(べんたつ)は、「発破をかける」と似たような意味合いがあります。「鞭撻」は、元々、ムチで打って懲らしめることです。そこから派生して「日頃から努力を怠らないようにと戒めて励ます」ことを意味します。
しかし、「ご鞭撻いただく」という形ではあまり使われません。入社した時や結婚式のスピーチ、お世話になった目上の方への年賀状などの挨拶状で「ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」というように使われます。
【例文】
先輩からご指導をいただき、ここまで務めることができました。