「路頭に迷う」とは?
「路頭に迷う」(ろとうにまよう)とは、「生活の手段を失って困窮する」という意味の慣用表現です。
「路頭」とは、みちのほとり、みちばた、路傍などの意味ですから、「路頭に迷う」は、自宅や職場など居着く場所を失い、どうやって暮らしていくのか困っているニュアンスが表れている表現ですね。「露頭」との混同にご注意ください。
なお「路頭」の「頭」とは、「あたま」とは関係がなく、「そのあたり」「あのあたり」といった匿名の場所を表す言葉です(例:「店頭」「街頭」など)。
「路頭に迷う」の使い方
「路頭に迷う」は、例えば、仕事を失って生計を立てる手段を失う、災害などで家や財産を失う、事業の失敗で多額の借金を背負うなどの事態により、衣食住をはじめとする生活が成り立たなくなるさまを指して使います。
現代社会では多くの人が定住しており、家財の充実や維持管理に資金を投入し続けることで一定水準の生活を維持しています。そしてその資金は、多くの場合は勤労によって得られています。
そのため、何らかの理由で仕事を失ったり、家財を失ったりすることは、生活を困窮させる事態へとつながりやすく、「路頭に迷う」という表現を当てはめるに足る代表的な理由となるでしょう。
例文
- 彼は妻子を路頭に迷わせることになる可能性を承知の上で、自分の才能を信じ、絵を描き続けた。
- 前代未聞の経済恐慌に加え、一家の大黒柱であった父が急死したことによって、我が一家は路頭に迷うことになった。
- 新事業を立ち上げようとしたとき、知人は「失敗したら路頭に迷うことになるぞ」と警告した。
- もしこの会社がつぶれたら、数千人の従業人が路頭に迷うことになる。
「路頭に迷う」の類語表現
生活の糧がない
「生活の糧(かて)がない」とは、生活が成り立たなくなること、という意味の表現です。「糧」とは、もともと古代の携行食のことをいい、転じて「活動の本源」という意味も持つようになりました(「生きる糧」など)。
「生活の糧」という場合は、生活を継続するためのみなもと、すなわち現代においては仕事など生活費の資金源となるものを指すと考えることができますね。
【例文】
- 家を飛び出してきたものの、彼にはこの街で生活の糧を得られる見込みが何もなかった。
生計が立たない
「生計(せいけい)が立たない」とは、暮らしをするための手立て(資金繰りなどが)が成り立たない(保つことができない)という意味の言葉です。
「路頭に迷う」がほぼすべての資源を失っているという状態であるのに対し、「生計が立たない」は、一定の収入がある場合もあります。しかし、「生計が立たない」状態がそのまま続けば、いずれ「路頭に迷う」ことになるでしょう。
【例文】
- 学問をしながら開いた時間でアルバイトをしているが、これではとても生計が立たない。
「路頭に迷う」を英語で言うと
「路頭に迷う」を英語で言いたい場合には、「adrift」(さまよう、漂流する)という単語を使い、「be turned adrift」とすることで、「adriftの状態に転じてしまう」という状態を表現できます。
また、ほとんど直訳で「get lost on the road(street)」(道端で迷う)としても、「路頭に迷う」のニュアンスは通じます。
さらに、少々露骨な表現ですが、「become homeless」(ホームレスになる)などでもニュアンスは一致するでしょう。
例文
- If our company goes bankrupt, thousands of workers will be turned adrift.(もし我が社が倒産したら、何千人もの労働者が路頭に迷うでしょう)
- In this city, many people have no work, and all are lost on the street.(この街では、多くの人に仕事がなく、みな路頭に迷っています)
- If you fail that challenge, you will become homeless.(その挑戦に失敗したら、君は路頭に迷うだろう)