「生きる糧」とは?意味や使い方をご紹介

「生きる糧」は(いきるかて)と読みます。「糧」は「食糧」という熟語にも使われる字で、基本的には食物を意味する言葉です。生きるために食物は欠かせませんね。今回は、そこから派生した「生きる糧」のという言葉の意味と使い方を、類語もまじえてご紹介します。

目次

  1. 「生きる糧」とは?
  2. 「生きる糧」の使い方
  3. 「生きる糧」の類語

「生きる糧」とは?

「生きる糧」(いきるかて)とは、端的に言えば「生きがい」のことです。生物として、「生きる」ために不可欠なものとしては、空気、水、食物がまず思い浮かびますよね。「かて」と読んでいる「糧」の漢字は、「食糧」という言葉で馴染み深いものです。

しかし、「生きる糧」は、人が生存するために必要な食糧のことではなく、生きていくための心の支え、パワーの源になるような存在を意味しています。

なぜ「生きる糧」がそのような心の拠り所を意味するに至ったのかをさぐるために、「糧」という言葉を検証していきましょう。

「糧」の意味

「糧」は、音読みが(りょう)、訓読みが(かて)。意味は、大きくわけて三つです。①食糧、食物②精神生活、実生活の活力ともなる源のもの、精神や生活を豊かにするもの③古代、旅や行軍に携行した干し飯(ほしいい)などの食物。主食となる食物。

「糧」という漢字は、本来、古代の携行食を指すものでした。宿さえろくにない当時の旅。まして行軍となると、携行する食べ物が命をつなぎます。それほどに、「糧」は貴重な命綱だったのです。

そこから、現代でも「糧」は「食糧」「食物」という意味をもつに至ります。しかし、「しょくりょう」といえば「食料」がすぐ思い浮かぶ表記なのではないでしょうか。

この機会に、「食糧」と「食料」の異なりを理解しておきましょう。「食糧」とは、主食の食べ物を意味します。「食料」は、主食も含むすべての食べ物、その材料のことです。

「生きる糧」の「糧」は、上記の意味の二番目、心や生活の活力の源泉ともなるものを意味していますが、「糧」という字の由来をこのようにたどれば、なぜこの文字が使われているのかや、この慣用句の意味もいっそう深く理解頂けるのではないでしょうか。

「生きる糧」の使い方

何を「生きる糧」とするかは、人によって千差万別であり、定義することはできません。一般的に言えば、子どもや伴侶などの愛する者たち、時間を忘れて没頭できるようななにか、それがあれば深く癒されるなにか、などが挙げられます。

使い方で気を付けるべき点は、「生きる糧」は、「生きる目的」ではないことです。生きがいであり、それにより自分に活力を与えられるのですから、「それ」が「目的」となるのは筋が違います。

たとえば、子どもが「生きる糧」である人は、子どもの存在に励まされ、力をもらって自分が頑張ることができるでしょう。

子どもが「生きる目的」となってしまうと、子どもにはああなってほしい、いい学校、いい就職、いい結婚を…と子どもに過度な期待を押し付ける親になってしまう危険があります。

「生きる糧」の文例

(A男)

子どもは実に僕の生きる糧だ。どんなに疲れて家に帰っても、子どもの寝顔を見ると、また頑張ろうと思えるんだ。

(B男)

画家は職業ですが、筆を執ると没頭して時間を忘れます。仕事が生きる糧でもあるのは、幸せなことです。

(B子)

私にとって、モーツアルトの音楽は生きる糧なの。人の心は変わるけれど、音楽は変わらず私を励ましてくれる。

「生きる糧」の類語

「心の拠り所」の意味と使い方

「心の拠り所」とは、精神的な支えとなるもの、挫けたとき、辛いときに頼みとすることができるものを意味します。

「拠り所」とは、困難にあるとき、いざというときに頼みとする場所のこと。そこから、「心」の「拠り所」とは、すなわち精神的な支えという意味になります。

「生きる糧」と同様に生きるための心の糧、力となるものではありますが、どちらかといえば、困難にあって頼りとできるもの、というニュアンスが強い慣用句です。

【文例】歌手になる夢を諦めかけるたび、恋人がつねに心の拠り所となってくれて、ついにデビューの運びとなった。

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