「勝手知ったる」とは
「勝手(かって)知ったる」とは、「様子を知っている。十分に熟知している」という意味です。「他人の家をまるで自分の家であるかのように我が物顔で振る舞っている」ことを表すのですが、親子や兄弟であれば、ある程度許せますが、かなり厚かましい態度ですね。
「勝手(かって)」と「知ったる」
「勝手知ったる」を構成する「勝手」と「知ったる」は、二つの言葉がお互いを補完しながら、上記の意味を作りだしています。それぞれの言葉の持つ意味を見ていきましょう。
「勝手(かって)」の意味
「勝手(かって)」の主な意味は、「自分だけに都合がよいように振る舞うこと」や「何かする時のものごとの具合のよしあし」ということです。
他にも、「台所」「暮らし向き」「自分がかかわる物事の事情・様子」など多くの意味を持っています。昭和の時代には、よく台所のことを「御勝手」と呼んでいました。「勝手」から構成される言葉は、次のようにたくさんあります。
- 身勝手:自分の都合で行動したり、考えたりすること。
- 勝手道具:台所の道具
- 勝手口:台所の出入口
- 勝手きまま:自分に都合のよいように振る舞うこと。わがまま。
- 使い勝手がよい:便利なこと。
- 勝手が苦しい:暮らし向きがよくないこと。
「知ったる」の意味
「知ったる」は、口語体の言い回しです。意味は、字句のとおり「知っている」ということです。「知っている」と言うよりも、「知ったる」という口語体を使うことでより言葉を際立たせています。
「勝手知ったる」の使い方と例文
「勝手知ったる」は、過去に、「自分が体験したこと」や「昔からよく知っていること」を「現実のさまざまな状況」にオーバーラップさせる時によく使われます。「自分が体験したこと」とは、頻繫に通った場所や置かれた環境であったりします。
「例文」
- 久しぶりに元の職場に戻ってきた。勝手知ったる雰囲気で仕事も順調です。
- 彼女は勝手知ったる様子で、私の部屋の掃除を始めた。
- 郷愁にかられて、勝手知ったる母校の校舎に足を踏み入れた。
- 彼は何回もこの山を登っている。勝手知ったる足取りで瞬く間に姿が見えなくなってしまった。
- 子どもたちは勝手知ったる他人の家とばかりに、すぐに冷蔵庫を開けて、ケーキを取り出した。
「勝手知ったる」の類義語
「勝手知ったる」の類義語は、「物事をよく理解している。その分野における知識が豊富な様子」などを表す言葉が挙げられます。
- 精通している:あることについて詳しく知っていること。
- 熟知している:よく知っていること。
- 心得ている:ある物事について、こうであると理解していること。
- 要領がわかっている:物事の主要な部分がわかっていること。
- 把握している:よく理解していること。
「勝手知ったる」が使われた記事
新聞や雑誌などのマスメディアにおいて、過去の体験から、様子を十分に熟知している事例が「勝手知ったる」というフレーズを使って紹介されています。過去に自分が行ったところや思い出の場所など勝手知ったるところはたくさんありますね。
〃勝手知ったる土地ではなく、新天地を選んだ背景には、ひとえに危機感がある。昨季は1勝に終わり「崖っぷち」と位置付けるシーズン。〃
2020年1月7日 中日スポーツ
〃「勝手知ったる日本」になりつつあるらしく、「ついでにあそこに行こう」「この前あそこに行ったよね」「もう1回行こう」などの声があるようだ。〃