「焼肉焼いても家焼くな」とは？意味や使い方をご紹介

「焼肉焼いても家焼くな」（やきにく・やいても・いえ・やくな）とは、日本食研ホールディングス提供、焼き肉のタレ「晩餐館」（ばんさんかん）の商品コマーシャルに登場した特徴的なフレーズです。

1992年から長年にわたって放送されていたこのCMは、どこかシュールなギャグ風味で視聴者に独特の印象を与え、「焼肉焼いても家焼くな」というフレーズともども、90年代の日本全国のお茶の間に知れ渡りました。

日本食研ホールディングス株式会社（以下、日本食研）とは、愛媛県に本拠を置く、食料品や調味料などを製造・販売する企業です。

創業は1971年と古く（会社設立は73年）、主な商品としては「晩餐館」を筆頭とする焼き肉のタレ、揚げ粉、その他食品などです。一般向けだけではなく業務用商品のシェアも大きく、日本の食を支えている企業といえます。

グループ会社も多く、中国、アメリカなどに事業所を持つなど、海外進出も進んでいます。

「焼肉焼いても家焼くな」のフレーズは、CMソングの流行が90年代ということもあり、現在では少々「古めかしい」「懐かしい」といったイメージで捉えられがちです。

日本食研による「晩餐館」のCMは今もなお放映されていますが、過去話題になったCMとはやや雰囲気が異なるため、特に若い人の間では「焼肉焼いても家焼くな」のフレーズになじみがない方もいらっしゃるかもしれません。

現代では、SNSや動画投稿サイトにおいて、「焼肉」や「火事」を連想させるようなコンテンツに対し、懐かしいパロディネタとして「焼肉焼いても家焼くな」のフレーズが書き込まれることがあるようです。

「晩餐館」のCMでは、牛の姿をした日本食研のキャラクター「バンコ」が三人（三頭）、消防車と思しき赤色の車両に乗った状態で、次のような歌を斉唱します。
 

このCMソングは、商品名「晩餐館」の最後の「カン」を、消防車の「カンカン」という音にかぶせ、さらに消防車→火事→焼肉との連関によって「焼肉焼いても家焼くな」とかける、一種のギャグによって成り立っていると分析されます。

映像をよく見ると、先頭のバンコが右蹄にもった紐を引き、警鐘と思しき鐘を（歌のリズムに合わせるように）鳴らしているさまも確認でき、細かく作られています。

また、本物の主婦によるバンコ三人の歌声はよく聞くと音が完璧には揃っておらず、どこか調子はずれで、奇妙な不協和音を醸しています。これらの特徴が、「耳に残る独特のCM」という印象を多くの視聴者に与えたようです。

三人同時に登場する日本食研のキャラクター「バンコ」は、元々はそれぞれ「バン」「サン」「カン」という名をもっていましたが、明石家さんま氏が「バンコ」と呼んだことが有名となってか、後に「バンコ」のみの名称に統一されました。

直立二足歩行する牛の姿をしたこのキャラクターは、三人とも同じピンクのエプロンをし、同じ買い物袋を提げた外見をしています。

中年主婦を模したと思しきこのキャラクターは、「かわいい」というよりは「にくたらしい」「シュール」な印象であり、他のCMに登場する際も、焼き肉プレートをひっくり返す、自転車を倒しながら一心に走るなど、滑稽な振る舞いが目立ちます。

「晩餐館」ならびに「バンコ」が登場する日本食研のCMは他にも数十種作られており、中にはまったく同じ構図と歌で、「バンコ」三人が中年主婦三人に変わっただけ、というCMも放映されました。

他のCMにおいても、「カン・カン・カン・カン」の歌い出しのメロディは共通していることが多く、長らくお茶の間に親しまれました。

「焼肉焼いても家焼くな」のフレーズも、そのまま他のCMに流用される場合もあれば、「焼肉する日はうち来るな」「焼肉焼いて厄落とせ（正月CM）」など、改変されたバリエーションも多く作られました。