「汗顔の至り」とは?意味や使い方をご紹介

「汗顔の至り」。難しい言葉ですが、テレビをつければ、こんな光景が目に入ることは少なくありません。マイクの前で謝罪する人々の額に汗が浮かんでいたら、それはまさにこの言葉の体現です。今回は、「汗顔の至り」の意味と使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「汗顔の至り」とは?
  2. 「汗顔の至り」の使い方
  3. 「汗顔の至り」の類語

「汗顔の至り」とは?

「汗顔の至り」は(かんがんのいたり)と読みます。堅苦しい言い回しではありますが、漢字を眺めれば、その意味の検討がつくのではないでしょうか。

「汗顔の至り」とは、顔に汗をかくほどに強く恥じ入りることや、そのさまきわめて恥ずかしく思うことを表す言葉です。「汗顔」は読んで字のごとくですが、「至り」で戸惑う人も多いことでしょう。

「至り」は多義的な言葉ですが、「汗顔の至り」に使われる意味は、ある状況や物事が最高もしくは最悪の状態(極み)にまで達していることを表したものです。つまり「汗顔の至り」は、このうえなく恥ずかしい、という状態を指しているのです。

「汗顔の至り」の使い方

「汗顔の至り」は、硬い表現ゆえにTPOをわきまえて使いたいものです。日常会話で用いられることはまずありませんから、くだけた場で使うと、本当に顔から汗が出るような状態になるかもしれません。

最も適したシーンは、やはりビジネスシーンや目上の人に対する謝罪の文章に添えるかたちです。それも、個人的な失敗や至らなさを詫びるケースにふさわしい言葉です。

努力を重ね、それでも良いお返事ができなかった…などのお詫びは、恥ずかしい失敗ではなく、「努力を結果に結びつけることができなかった至らなさ」を謝罪するものです。

「汗顔」は比喩でもありますから、実際に顔に汗をかかずとも、このうえなく恥ずかしい時に使うことができます。また、褒められたことへの謙遜として用いることもできます。至らないところをそんなに褒めて頂き、恥ずかしさに汗ばむ思いです、という気持ちを伝えます。

「汗顔の至り」の文例

  • このたびは、私のミスにより多大なご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます。まことに汗顔の至りでございます。
  • 昨日は、予定の日を間違え突然お訪ねしてしまい、汗顔の至りです。本当に申し訳ございませんでした。
  • 先日は個展にご足労頂いたのみならず、拙い作品に過分なお褒めの言葉を頂き、汗顔の至りです。

「汗顔の至り」の類語

「赤面の至り」の意味と使い方

赤面の至り」の「至り」は、「汗顔の至り」とまったく同じ意味で使うことができます。「赤面」は、読んで字のごとく「面(顔)が赤くなること」

頭に血が上って顔が赤くなる場面といえば、きわめて恥ずかしいとき、強い怒りを覚えたときなどが挙げられるでしょう。「赤面の至り」は、その中でも恥ずかしいときのみに用いる言葉です。

したがって、「赤面の至り」は「顔が赤くなるほど、このうえなく恥ずかしい」という意の言い回しです。やや軽いニュアンスですので、ビジネス上の失態の謝罪に添える場合には「汗顔の至り」のほうが用いられているようです。

【文例】昨夜は、泥酔のあげく山田先輩に家まで送り届けていただき、大変なご迷惑をおかけしたと赤面の至りです。

「慙愧に堪えない」の意味と使い方

「慙愧に堪えない」は、自らの言動などを振り返り、悔やみ、恥じ入る気持ちのことを指します。「慙愧の念に堪えない」と使うこともあります。「汗顔の至り」は、恥ずかしく思うことだけを表しますが、こちらは「反省する」というニュアンスが含まれています。

「汗顔の至り」と同じように、硬く改まったフレーズですので、謝罪の場などで用いられることがあります。しばしば「残念に思う気持ち」を表すときに使われることがありますが、これは誤用ですので注意しましょう。

【文例】イベント来場者の評価が低かったのは、準備不足が原因であったと慙愧の念に堪えません。

関連するまとめ


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ