「名実ともに」とは
「名実ともに」(めいじつともに)とは、「名前と実力がつりあっているさま。実力や地位が評価、評判にふさわしいものとなっているさま」という意味です。
言い換えれば、名前や名称などが実力や実体につりあって、ふさわしいものとなっている状態のことです。そのどちらが欠けても「名実ともに」には当てはまりません。
「名実ともに」は「名実」と「ともに」から構成されています。では、「名実」とはどのような意味なのでしょうか?
「名実」とは
「名実」は、「名」と「実」が合わさった言葉です。これらは、「名前と実質」、「名声と功績」、「名称と実体」や「評判と実際」など、相対する意味を表現しています。
「名実」は「ともに」と合わさることにより、「名前と実質」、「評判と実際」などがつりあって、ふさわしい状態となり、「名実ともに」というフレーズを成しています。
また、「名実」という言葉は、他の言葉と合わさって、より「名実」の意味をクローズアップする四字熟語を構成しています。代表的な四字熟語としては、「名実一体」や「名実相応」などがあります。
「名実ともに」の使い方と例文
「名実ともに」は、「実際に見てみたら評判通りであった。」または、「内容は名前負けしないものであった。」などの場面で使われています。「名実ともに」の対象は、人である場合もあれば物である場合もあります。
例文
- このホテルは名実ともに日本一のホテルになりました。
- 彼は名実ともに日本を代表する作家となりました。
- 今シーズンの優勝により彼は名実ともに球界を代表する監督になった。
- 彼女は名声ばかりでなく実力も兼ね備えた名実ともに世界の歌姫になった。
- 我が社は新たなPR戦略により名実ともに国内トップの家電メーカーを目指す。
「名実ともに」の類義語
「名実ともに」の類義語としては、次のような言葉や表現が挙げられます。
- 誰もが認める:自認するとともに周囲がそれと認めている。
- 衆目(しゅうもく)の一致するところ:多くの人がそう考えているという意見のこと。
- 正真正銘:まったくうそ偽りのないこと。偽りのない本物であること。
- 文句のない:議論する余地のないこと。苦情をいう余地がないこと。
- 紛れもない:まちがいない。明白であること。
「名実ともに」は、一流やナンバーワンとの評判であっても、実際に確かめてみて、同様の評判や評価でなければなりません。「名実ともに」の類義語は、いずれも、フレーズは違っていても、これに類する意味となっています。
「名実ともに」の英語表現
「名実ともに」の英語表現では、「both in name and reality」 や「both in name and substance」 などのフレーズで表現します。
「name」(名前、名称)と「reality」(真実、事実)や「substance」(実質、実体)の両方を兼ね備えた表現です。
例文
- He is a scholar both in name and reality(彼は名実ともに学者である。)
- a nuclear state both in name and reality(名実ともに核保有国)
「名実ともに」が使われた記事
最後に、「名実ともに」という表現が使われている記事をご紹介します。実際にどんな使われ方をしているか、確認しておきましょう。
〃石井球団社長は「シャレじゃないけど、丸君が加わることで、名実ともに『一丸』となって戦えるのではないか」などと話した。〃
2018年11月30日 朝日新聞
〃東芝の名前を外す社名変更を18日に発表し、親会社だった東芝から名実ともに独立して成長したい考え。〃
2019年7月19日 日本経済新聞
〃2016年に完全子会社になったダイハツが、トヨタの小型車部門として名実ともに機能し始めたことを象徴する。〃
2019年11月6日 日経XTECH