「理知的」とは?
「理知的」(理智的・りちてき)は、大きく分けて、下記の二つの意味をもつ言葉です。
- 理知によって物事を冷静に判断し、考え、行為するさま。
- 容姿やたたずまい、その言動などが理知に富んでいるように見えるさま。
すなわち「理知的」は、人の内面が理知に富んでいる、という意味と、人の外面が理知に富んでいるように見える、という内面、外面二つの意味を持っている言葉なのです。
一つ目の意味から、「理知的」とは自分の感情に流されることなく、物事の本質を冷静・客観的に理解することができる性質ということができ、それは本人にも周りにも、とても有益な結果をもたらす貴重な資質と言えます。
「理知」の意味
「理知的」という言葉を正しく理解するためには、「理知」の意味を知る必要があります。「理知」とは何なのでしょうか。
「理知」には、下記の二つの意味があります。
- 「理」と「知」、理性と知恵。感情に翻弄されず、本能に支配されることなく、論理的な思考と判断ができる力。
- (仏教用語)真如(しんにょ)と言われる理、及びその理を悟る智慧。
「理知的」で用いられているのは、一つ目の意味における「理知」です。
「理知的」の使い方
「理知的」という言葉は、ポジティブな意味で使われます。「理」という字は、理屈、理が勝ちすぎる、などとネガティブなニュアンスで用いられることもありますが、「理知的」という際にはそのような意味はないことをしっかりと認識しておきましょう。
また、「理知的」と言う対象は、必ずしも人間とは限りません。例えば、文書の構成が理知に富んだ論理的なものである場合などに、「理知的な文章構成」と表現することが可能です。
「理知的」の文例
(A男)
ノーベル賞の授賞式をテレビで観たけれど、どの受賞者のスピーチもウィットがありながら理路整然としていて、実に理知的で感動したよ。
(B子)
女性は感情的になりがちと言われることもあるけど、由美子さんはいつも冷静沈着。トラブルがあっても的確な判断ができる理知的なキャリアウーマンよ。
(C男)
山田君のこのレポートは、論理的な論考に、説得力あるデータが添えられている。実に理知的ですぐれた内容だと思うよ。
(D子)
経済学部の山下教授は、すぐれた経済学者として引っ張りだこだけど、内面そのままの理知的な容貌がさらに人気なのよ。
「理知的」の類語
「知的」
「知的」とは、知性や知識が豊富なさま、知性が感じられるさまを意味します。また、そのような知性、知識などの働きに関するさまを意味することもあります。
【文例①】真由美さんは、とても知的な女性で、彼女の部屋の書棚には、さまざまなジャンルの本がずらりと並んでいる。
【文例②】文筆家や芸術家の仕事は、繊細な感情を客観的に作品として構成してゆくのだから、実に知的な作業といえる。
「主知的」
「主知的」(しゅちてき)とは、知性や理性などの知の機能が、ほかの感情や意志よりも上回っているさまを意味します。感情に翻弄されず、理性的な判断ができるという点で、「理知的」の類語と言えます。
【文例】地球温暖化問題に取り組むこのNPOには、実に様々な人間が集っているが、会長の鈴木氏は主知的な人間で、実にうまく組織をまとめてくれている。
「頭脳明晰」
「頭脳明晰」(ずのうめいせき)とは、思考や判断力がはっきりと明確なこと、聡明であることを意味する言葉です。
【文例】佐藤君は、東大法学部を首席で卒業したという、まさに頭脳明晰なエリートだ。
「理知的」の対義語
「感情的」
「感情的」には、下記の二つの意味があります。
- 感情に関するさま。
- 理性を失って感情に走ること、感情をコントロールせずにむきだしにするさま。
「理知的」の対義語としては、2の意味の「感情的」が当てはまります。つまり、論理的な思考や客観的な判断ができずに、感情でものごとを対処してしまうことを意味します。
【文例】中村専務と山本専務は、相性が悪いのか、会議の場でも相手の主張を感情的に否定し合うので、有益な議論が成り立たない。