「思い当たる」とは?
「思い当たる」(おもいあたる)とは、論じられている事柄や対処を考えている問題などについて、なにかがひらめくこと、ピンとくること、なるほどと気づくこと、などを意味する言葉です。
会話でも文章でもよく用いられる言葉ですが、わけても「思い当たる節(ふし)がある」という言い回しは頻繁に登場します。
「思い当たる」の使い方
「思い当たる」のような、「思い~」というかたちの言い回しは複数存在します。類語として後述するものもありますが、「思い浮かぶ」「思い至る」「思い出す」「思い描く」など、枚挙にいとまがありません。
それらのなかにあって、「思い当たる」の特徴は、ふと気づいた、ピンときた、ひらめいた、などのようにほぼインスピレーションのようにその思いがやってきた、という感覚だといえましょう。
努力して原因をつきとめたり、推量してみたり、という継続的な行為のさなかであったとしても、ふとひらめいた気づきが「思い当たる」なのです。
「思い当たる節がある」について
「思い当たる」の文例を挙げる前に、もっとも登場頻度の高い言い回しである「思い当たる節がある」の意味について検証いたします。
「思い当たる」については既に述べましたが、「節がある」はどのような意味をもつのでしょうか。この場合の「節」は、心のとまるところ、注目すべきところ、~と思われる点、などを指す「節」です。
同様の使い方としては、「怪しいと思われる節がある」などを挙げることができます。したがって、「思い当たる節がある」という言い回しは、「なるほどと気づかされる点がある」というような意味をもっています。
「思い当たる」の文例
(A男)
軒先につるしていた干し柿が、ごっそりと盗まれた。人が手を伸ばせない高さなのにと戸惑っていた時、思い当たったのが、庭先で見かけた猿だ。たぶん、あいつだよ。
(女子高生B子)
誕生日の日、私の靴箱にペンダントの贈り物が入っていたの。無記名だけど、いつも朝の電車で同じ車両に乗ってくる男子生徒が思い当たったの。
(C教授)
昨日研究室に入ったら、机まわりがいつもと違う。調べたら、ある資料が紛失していたんだ。誰がやったのか、ということについては、実は思い当たる節がある。
「思い当たる」の類語
「心当たりがある」の意味と使い方
心当たりがあるという言い回しは、心のなかに、これだと思い当たることがある、目当てがある、という意味を持ちます。ふとひらめく、というニュアンスの強い「思い当たる」に比べると、最初から見当がついている、という感じの強い言葉です。
【文例】部署を移動してきたばかりの僕に、今回のプロジェクトリーダーを任せてもらえるのは光栄だ。誰が推薦してくれたのかについては、心当たりがあるよ。
「ピンとくる」の意味と使い方
「ピンとくる」は、あることを直観で感じとること、あることが思い当たり、はっと気づくさま、を意味する言葉です。
もう一つの意味として、自分の気持ちに訴えるものがある、というものがありますが、こちらは「思い当たる」とは異なる意味になりますので、割愛します。
【文例】クラスの生徒の誰かが、和男君と麻里ちゃんのデート写真をSNSに載せたのは間違いない。僕には、ピンとくる人物がいるんだ。
「思いつく」の意味と使い方
「思いつく」は、誰もが知っている平易な言葉ですが、「思い当たる」にはもっとも近い類語といえましょう。
とはいえ、「思い当たる」は、問題の解決法などがひらめく、という表現するのに適していますが、「思いつく」では、思考をめぐらせた結果としてそのアイデアや解決法にたどりつく、というニュアンスがやや強くなります。
【文例】僕の資料を持ち去ったのはいったい誰だ?と考え抜いたすえ、ついにある人物を思いついた。