"tide"①:潮
"tide"は海の水の満ち引きや、満ち引きする海水そのもの、「潮」を指します。この「潮」という意味では、指示対象は具象的です。
【例】
- The tide is in. 「今は満潮だ」
- The tide is out. 「今は干潮だ」
- The tide is flowing. 「潮が差している」
"tide"②:潮流
"tide"には、①の具象的な海の潮の流れだけではなく、抽象的な世論や運などの流れ、すなわち傾向や風潮、形勢という意味もあります。
【例】
- No one can resist the tides of history. 「歴史の流れには、誰も逆らえない」
- Gun laws can do much to stem the tide of violence. 「銃規制法はこの暴力の流れを食い止めるの為に大きな役割を果たすことができる」
- There is a possible tide change in Parliament. 「国会での趨勢は変わる可能性がある」
"tide"の複合語
「潮」の複合語
「潮」に関わる用語は、日本語と同様、数多くあります。
- ebb tide :「引き潮」
- flood tide:「満潮」
- tide level:「潮位」
- tide gate:「潮門、防潮扉」
- tide race:「強潮流」
「風潮」の複合語
②の意味の風潮や人の意見の流れなどを表す用法も、多種あります。
- tide of anger:「徐々にこみあげてくる怒り」
- tide of time:「時運」
- tide waiter(tidewaiter):「日和見主義者」
"tide"を使ったことわざ・格言
"tide"を含むことわざや格言などをご紹介します。
Time and tide wait for no man
"Time and tide wait for no man."を直訳すると「時間と潮は誰のことも待たない」となり、日本語のことわざの「歳月人を待たず」にあたります。
時間と潮の流れは、どのような人間にも止めることはできない、だから今を大事にせよ、という意味で使われることわざです。
A rising tide lifts all boats
"A rising tide lifts all boats."を直訳すると「上げ潮は全ての船を持ち上げる」となり、意味としては「好況になればすべての人間が利益を得る」です。
この格言は経済の文脈で使われます。"tide"が「景気の波」を指し、"rising tide"「上げ潮」は景気が良くなることを表しています。つまり、景気が良くなれば、個人であれ企業であれ皆が恩恵を受ける、と謳っているのですね。
アメリカのジョン・F・ケネディ大統領は、スピーチ中で、不景気からの脱出を訴える為にこの格言を好んで使いました。現在では、投資の分野でこの格言が使われるようになっています。
投資分野では、「トレンドに乗れば、なにを売っても買っても、利益が出せる」と、ケネディ大統領の用法よりも限定的なニュアンスで使われています。
ゲームサービス「Tides of War」
英語"tide"を日本語表記「タイド」で使うことは稀です。しかし、ゲーム好きの方は、ゲームソフト『Battlefield Ⅴ』において、追加コンテンツをダウンロードできるゲームシステム「タイド・オブ・ウォー(Tides of War)」を思い浮かべるかもしれません。
『Battlefield Ⅴ』は第二次世界大戦の世界を舞台にしたシューティングゲーム。「タイド・オブ・ウォー」で新しいマップやゲームモードが配信されることで、ゲーム内の戦術や兵器が進化していく流れを"tide"という単語で表現しているようです。