「意に添う」とは?
「意に添う」は<いにそう>と読みます。「相手の考え方に従って行動します」という意味で、相手の期待通りに取り組むことを伝える時に使う言葉です。
この言葉は、ビジネスの現場でもよく使われる文言の一つですね。例えば、商談の場で「意に添うかたちで進めてまいります」と言う場合、相手の考えを受け入れ、それに基づいた作業を進行するという意味になります。
「意に添う」:意味
「意に添う」は、「意」と「添う」の二つの語から成り立っています。ここではそれぞれの意味を見ていきましょう。
「意」:意味
「意」は「心の働き」「思っていること」「気持ちや考え」を意味する語です。次の例のように、多くのフレーズに使われています。
【例】
- 意とする:気にとめる。心配する。
- 意に適う:考えに合う。気に入る。
- 意を酌む:他人の考え・意見を肯定的に推察する。
- 意を決する:決心する。覚悟を決める。
「添う」:意味
「添う」には「要望・目的などに合う」「離れずにそばにいる」という意味があります。「添い寝」「付き添い」「添え木」などの言葉からもわかるように、寄り添っているようなイメージです。
「意に添う」:使い方
「意に添う」という表現を使うのは、誰かの意見や提案などに対して返答するというシチュエーションです。例えば、上司が出した案に対して「意に添う」という場合は、「上司の考え=意」に従っていこうという意味です。
また、お客様の意見や要望などに寄り添いたいという気持ちを含むフレーズとして、顧客対応の際によく用いられています。
例文
- 会議の結果、社長の意に添う方向で進めることになった。
- お客様の意に添えるように努力してまいります。
- 意に添えるか分かりませんが、確認してみます。
「意に添う」と「意に沿う」
ここまで「添う」という字を使って、説明をしてきましたが「意に沿う」という表記もあります。新聞社などでは「意に沿う」に統一しているところもあるようですが、「意に添う」が誤用というわけではありません。「意に添う」と「意に沿う」に違いはあるでしょうか?
「沿う」:意味
「沿う」には「主となるものから離れないようにする」「長い線状のもののわきを進む」という意味があります。川に沿って歩く、線路に沿って進むといったことですね。派生して、「方針や基準にしたがう」という意味もあります。
「意に添う」と「意に沿う」の使い分け
最初に、「意に添う」と「意に沿う」にはニュアンスの違いはありますが、使い分けに神経質にならなくても大きな問題はありません。
【意に添う】
単発的な意見や考えに対して用いるのは「意に添う」です。また、「添う」には相手に同調するという感情を含む場合がありますから、相手への気持ちを含める場合には「意に添う」が用いられます。
例えば、顧客の意見や要望に従うという場合、お客様に寄り添うといったニュアンスで、「お客様の意に添う」が好まれるという意見もあるようです。
【意に沿う】
会社の理念やプロジェクトの方針などの長い期間続く「意」に対しては、「意に沿う」が適しているといえます。
「意向に添う」とは?
「意に添う」に似た表現に「意向に添う」という表現があります。「意に添う」とほとんど同じように使うことができます。「ご意向に添う」はより丁寧な表現です。
「意向」は、「どうしたいか・どうするつもりかという考え」を指す言葉です。ビジネスにおいては、仕事の上での考え方、要望などを表す時に用いられます。
また、「意向に添う」と「意向に沿う」のニュアンスによる使い分けは、「意に添う」「意に沿う」の場合と同様です。
例文
- ありがとうございます。ご意向に添えるように頑張ります。
- ご意向に添えるように、もう一度上司と相談してみます。
- 意向に添いたい気持ちは、やまやまですが、少し考えさせてください。