「暗雲が立ち込める」とは
「暗雲が立ち込める」とは、「暗雲」という言葉から連想できるように、何か悪いことが起こりそうな不穏な気配がするときに使われる比喩的な表現です。「暗雲が立ち込める」は、「暗雲が」という主語と「立ち込める」という述語から構成されています。
では、「暗雲が立ち込める」の「暗雲」、「立ち込める」とは、それぞれどういう意味をもっているのでしょうか。
「暗雲」とは
「暗雲」は、「雲の様子など天候に関すること」や「不穏な気配を表現すること」の二つ意味に大別されます。
- 雨や雪が降りだしそうな気配のある黒い雲。日の光をさえぎる黒い雲。
- 危険や不穏なことが起こりそうな形勢。何か起こりそうな不穏な気配。
「立ち込める」とは
「立ち込める」は、「霧や煙などがその場所一面に広がること。」または、「辺りを取り囲んで閉じ込めること。」という意味です。「立ち込める」は、「立ち籠める」とも表記します。
「暗雲が立ち込める」の使い方と例文
- 些細なことをきっかけにして、二人の関係には暗雲が立ち込めてきた。
- チームは連敗が続いている。優勝にむけて暗雲が立ち込めてきた。
- 米中貿易戦争の影響によって、株価が下がるなど株式市況に暗雲が立ち込めてきた。
- 会社の経営に暗雲が立ち込める。その原因は製品に欠陥が見つかり、大量の製品回収を余儀なくされたからだ。
- 領土問題が発端となり、両国の友好関係に暗雲が立ち込めてきた。
政治や経済、社会、スポーツなど順調に進んでいたことが、あることをきっかけとして悪い方向に向かいつつある時などによく使われます。
「暗雲が立ち込める」と「暗雲が垂れ込める」の違い
「暗雲が立ち込める」の他に「暗雲」を使った言葉として、「暗雲が垂れ込める」があります。「暗雲」という主語は同じであっても違う意味を持つ言葉です。両者の違いは述語の「立ち込める」と「垂れ込める」にあります。
- 「立ち込める」:霧や煙などが辺り一面を覆うこと。
- 「垂れ込める」:雲などが低く覆うこと。
ともに雲や煙などが辺りを覆う様子を示す言葉です。両者の違いは、「立ち込める」が平面的な広がりを連想させる言葉であるのに対し、「垂れ込める」は高いところから低いところへ、と高さ方向への広がりを思わせる点にあります。
実際の気象として、雲が空を覆って暗くなる様子を表すには「暗雲が垂れ込める」が一般的です。「立ち込める」は、「暗雲」と結びついて「不穏なことが起こりそうな気配」などの意味をもつ慣用句となっています。
「暗雲が立ち込める」の類義語と対義語
類義語は、物事のこれまでの状況や現在の様子から、将来の見通しが悪くなることを表しています。一方、対義語では、物事のすべてが順調に進み、将来の見通しも明るいことを表しています。
- 類義語:前途多難、前途遼遠(ぜんとりょうえん)、雲行きが怪しい、予断を許さない
- 対義語:前途有望、前途洋洋、順風満帆(じゅんぷうまんぱん)、とんとん拍子
「暗雲が立ち込める」が使われたコメント
実際の文章の中での、「暗雲が立ち込める」というフレーズの使われ方を見てみましょう。
2019年6月4日 みずほ総合研究所
2019年5月30日 J-castニュース
2019年4月2日 グローバルニュースアジア