「気兼ねなく」とは?
仕事やプライベートの中でも円滑なコミュニケーションが求められ、TPOを考えた言葉の抽斗を開け閉めしながら気を遣う毎日。
取引先や上司との失敗が許されないやり取りへのプレッシャー、ママ友や姑、ご近所との付き合いに息苦しさを感じている人も少なくないでしょう。
仲の良い友達や家族など、思ったことを遠慮なく話せる相手は、あなたにとって「気兼ねなく」話すことができる相手といえます。
日常会話やビジネスシーンでもよく使われる「気兼ねなく」という言葉に焦点を当てて、説明していきます。
「気兼ねなく」:意味
「気兼ねなく」とは「遠慮しないで」「気軽に」という意味の言葉です。「気を遣わないで」「リラックスして」と同じような意味で使われます。
「気兼ね」は「他人の思惑などを考えて、気をつかうこと」「遠慮」を表す語です。「気」は「心の動き」を表し、「兼ねる」には「遠慮する」「心をおしはかる」を表していることからも「気兼ね」の意味が汲み取れるでしょう。
「なく」は打ち消しの形ですから、「気兼ねなく」で「他人の思惑などを考えて、気をつかうことをしない」つまり「遠慮しない」という意味を表しています。
「気兼ねなく」:使い方
基本的には「気兼ねなく話す」のように、「気兼ねなく〜する」という動詞に繋がる形で使われ、「遠慮しないで~する」という意味を表します。
相手に使う場合は、相手が何かに遠慮して疲れたり、気を遣って言い出せなかったり、という事がないように、「気を遣っていただかなくても大丈夫ですよ」という気持ちをこめて使われます。
例えばパーティーで、遠慮しないで食べてください、思う存分楽しんでくださいということを伝えたい時に「気兼ねなくお楽しみください」と声をかけるとよいでしょう。
日常生活
日常生活の中で、よく使われるのは「(何かあれば)気兼ねなく言ってください」「気兼ねなく話してください」という表現です。
「なんでも気軽に話してください」「気づいた事があったら、遠慮なく言ってください」「困った事があれば、すぐに連絡してください」といった意味で用いられます。
自分の状態を示す場合には、「親がいないので、気兼ねなくのんびりできる」「明日は休日なので、気兼ねなくお酒を飲める」など、遠慮したり、深く考えずに何かをするという意味です。「〜できる」という可能の文章でよく使われます。
ビジネスシーン
「気兼ねなく」は、ビジネスシーンでもよく使われる言葉ですが、目上の人に使う場合には、丁寧語や尊敬語を使う必要がある点に注意しましょう。
「気兼ねなく」の頭に「お」を、語尾に「ください」をつけると丁寧な表現になります。「どうぞお気兼ねなくご連絡してください」「お気兼ねなく仰(おっしゃ)ってください」が、代表例です。
他にも「お気兼ねなくお申し付けください」「お気兼ねなくお越しください」などの表現もよく使われます。
名詞につく場合
名詞につく場合は、「気兼ねない友人」のように「気兼ねなく」ではなく「気兼ねない」に変形して使われます。
「気兼ねない友人」とは、遠慮しないでなんでも話せたり、一緒にいても気を遣わなくてもよいような存在の友達のことです。「気兼ねない関係」「気兼ねない間柄」「気兼ねない仲」ともいえます。
男女関係で「気兼ねない関係」を使うと、恋愛ではなく、友人関係を表していると言えるでしょう。