「身をもって」:意味
「身をもって」とは「自分の体で」「自分自身の経験として」という意味です。他人からの伝聞や、書物から得た知識については使われず、自身で体験した場合のみに使われることに注意しましょう。
知識だけはあったこと、頭ではわかっていたが未経験であったことなどを、実際に体験したときに使うこともあります。
- 身をもって体験したことは、必ずあなたの糧になります。
- 増水した川の恐ろしさを、身をもって知りました。
「身をもって」:「もって」の意味
「身をもって」の「身」は「我が身」のことです。「もって」は漢字で「以て・以って」と書きます。この「以て」は「持つ・持って」が元となってできた言葉です。
「持つ」は物質的に何かを所持している、所有しているという意味を持ちますが、その具体的な意味が薄れ、助詞のような働きをする語として使われることもあります。
その場合、<手段・方法・材料>などを表す言葉として、「〜で」「〜でもって」「〜によって」と同じ意味を持つ言葉として使われることが多いです。また、<原因・理由>などを表す言葉として、「〜の理由で」「〜により」という意味を持つこともあります。
「身を以て」という場合は、「自分の体で」「自らの体験によって」という意味なので、「〜で」「〜でもって」「〜によって」という意味での用法ですね。
「以て」の用例:「以ての外」
「以ての外(もってのほか)」とは「非常に不届きであること」「けしからぬこと」です。道理や礼儀に外れていてよくないことを表し、「言語道断」と同じような意味を持ちます。「予想を超えるレベルではなはだしい」という意味で使われることもあります。
- 世話になった人を裏切り、さらにその悪口を言いふらすなどもってのほかだ。
- その噂を聞いて、彼はもってのほかに怒りだした。
「身をもって」:他の意味
「身をもって」には「自分自身で」「自ら」の意味の他に、「体一つで」「かろうじて」という意味があります。
「やっとの事で」「どうにかこうにか」と同義の言葉です。「身をもって難を逃れる。」「身をもって、その窮地から逃れることができた。」のように使われます。
最初に紹介した「自分自身で」という意味で使われるケースが圧倒的に多いのですが、どちらの意味で使われているのかは、話の内容によって判断するようにしましょう。
「身をもって」:例文
- 「育児の大変さを、身をもって知った。」
友達が子供を産んで育児に奮闘している様子を見ていて、可愛いけど大変そうだなと感じた人がいるとします。その後、実際に自分も子供を産み、育児の日々を送ることによって、改めてその大変さを思い知ることになりました。そういうストーリーが見えますね。
- 「母親のありがたみを、身をもって知った。」
- 「相手校の強さは身をもって知っているので、入念な対策が必要だ。」
- 「身をもって、大学受験の辛さを味わった。」
- 「地震の際の動きを常に考えていたので、身をもって地震津波から逃れることができました」