「曲がりなりにも」の意味
「曲がりなりにも」とは「不十分ではあるが」「どうにかこうにか」といった意味を持つ言葉です。完璧とは言えないものの、何らかの業績を上げていたり、行動を実現できているときに使います。
「曲がりなりにも」の後は、その人物をプラス評価する内容の言葉を繋げることが多いです。マイナスな要素はあるものの、トータルとしてその人物をプラス評価しているときに使います。
「曲がりなりにも」の由来
「曲がりなりにも」は「曲がり形(なり)にも」と漢字で表記します。もともとは「形が曲がっていても」という意味の言葉でしたが、そこから発展して「不完全であっても」「未熟であっても」といった意味でも使われるようになりました。
「曲がりなりにも」の使い方
「曲がりなりにも」は先述のとおり、複数の意味を持つ言葉です。それぞれの意味やニュアンスに対応する使い方をご紹介します。
「どうにかこうにか」というニュアンスのときの使用例
「曲がりなりにも」は、不十分な要素は残っているものの、苦労して許容されるラインにまで物事をこなしていたり、何とか特定の立場に立っている人を評価したいときに使います。
(A)
曲がりなりにもプロの写真家として生計を立てられるようになった。
(B)
漫画家として、曲がりなりにも連載を持てるようになった。
期待を込めているときの使用例
また「曲がりなりにも」は、現状では不十分な状態ではあるものの、将来的には良い結果を出すだろうという期待を込めて使うことがあります。
(C)
曲がりなりにもプロ選手なのだから、本番ではしっかり結果を出すだろう。
(D)
曲がりなりにも人気商品なんだから、きっと良い効果が出てくるさ。
謙遜するときの使用例
「曲がりなりにも」は自身や身内のことを謙遜して評価するときにも使われます。
(E)
曲がりなりにも10年社長を務めておりますので、社内の事情については熟知しております。
(F)
息子は曲がりなりにもミュージシャンとして活躍しているので、音楽については詳しいはずですよ。
「曲がりなりにも」の間違いに注意
「曲がいなりにも」と間違える
「曲がりなりにも」のことを「曲がいなりにも」と間違える方がいます。おそらく「紛い物(まがいもの)」と混同した結果生じた誤用と思われますが、もちろん正しくは「曲がりなりにも」ですので気をつけましょう。
完璧な人や物事に対して間違って使う
「曲がりなりにも」は先述のとおり「不十分」や「どうにかこうにか」という意味を持つ言葉です。完璧な物事や、さして苦労の伴わなかった事柄に対しては使えませんので注意しましょう。
ただし「曲がりなりにも」が謙遜の意味で使われているときは例外です。客観的に見て不十分なところが無さそうな完璧な人でも、自分自身を謙遜して「曲がりなりにも」を使うことがあります。この場合は誤用とは言えませんので気をつけましょう。
「曲がりなりにも」の類義語
「曲がりなりにも」の類義語としては「どうにかこうにか」「かろうじて」「それなりに」などが挙げられます。それぞれの意味やニュアンスについてご紹介します。
「どうにかこうにか」について
「どうにかこうにか」は「どうにか」を強めた表現です。なお「どうにか」は「余裕は無いけれど何とか物事を実現できた」という意味の言葉です。
「かろうじて」について
「かろうじて(辛うじて)」とは、余裕の無い状態や危ない目にあう直前の状況などから、何とか逃れる様子を指す言葉です。
「それなりに」について
「それなりに」は「そこそこに」「相応に」という意味の言葉です。ある条件や立場などにふさわしい程度や状態であることを指します。