「忘却の彼方」とは?
「忘却の彼方」とは、忘れるという意味の「忘却」と、離れた場所を表す「彼方」という言葉を組み合わせた表現です。
「記憶や思い出が忘れられて、遠くに追いやられる」という意味があります。つまり「すっかり忘れてしまう」ということです。
忘却の彼方は、「忘却の彼方になる」「忘却の彼方に消え去る」といった形で使われます。かなり詩的な表現で、日常生活で使われることは滅多にありませんが、詩や小説などでは度々使われる表現です。
スクウェア・エニックスが開発・販売している人気RPGゲーム『ファイナルファンタジー14(FINAL FANTASY XIV)』のBGMタイトルにも使われているので、そちらでご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。
忘却
「忘却」は<ぼうきゃく>と読み、「忘れ去ること」「忘れてしまうこと」という意味を持ちます。
「忘れる」と同義ですが、「却」には「取り払う」「なくしてしまう」という意味があり、忘れるという意味を強める働きをしています。
脳科学的には、「忘却」とは実際に経験し保持していた情報を思い出せず、意識することができない状態のことを指すようです。「まったく知らないこと」を忘却しているとは言いません。
彼方
「彼方」は<かなた>と読みます。あなたとも読みますが、現代ではかなたと読むのが一般的です。
「遠く離れた先の方」「隔てられて見えないむこう」「現在から遠く隔たった過去および未来」という意味を持ち、話し手・聞き手のいずれにも属さないと思われる範囲の事物・場所・方向などをさす遠称です。
口語で「あれ・あそこ・あちら」などというように、古文などでは「かれ・かしこ・かなた」などと表すこともあります。
「忘却の彼方」:使い方
- あれから20年。あの事故も忘却の彼方になったようだ。
- 前に進むためにも、この悔しい思いを忘却の彼方に押しやる決意をした。
- 彼女には長く連れ添った彼がいたようだが、最近裏切られたようでひどく憔悴していた。彼女は、彼の存在を忘却の彼方に消し去ろうとしているように見えた。
- 警察の不祥事が原因で起こったあの事件は、忘却の彼方に葬られようとしている。
- 今更そんなことを言われても、私にとってはもう過去のことだ。何を言われようとすべて忘却の彼方だ。
「忘却の彼方」:類語、言い換え
失念
「忘却の彼方」に似た言葉として「失念」があります。「覚えていたはずのことを思い出せないこと」を意味し、「お名前を失念して申し訳ありません」などというように使います。
「失念」は自分自身が物忘れなどで何かをうっかり忘れてしまうということを表します。忘却の彼方ほどの忘れ具合ではなく、すぐ思い出せるぐらいの軽いものです。
忘失
「忘却の彼方」に似た言葉として「忘失」があります。「すっかり忘れてしまうこと」という意味の他に「失いなくすこと」という意味があり、「パスワードを忘失してしまった」などというように使います。
「忘失」は「なくす」という意のとおり、物をなくすなど物質的になくしてしまうことを表します。
言い換え
「忘却の彼方」は「忘れる」という意味から、以下のように言い換えることができます。
- 記憶が失われる
- 思い出せなくなる
- 忘却する
- すっかり忘れる
- 思い出せない