「元(もと)」の意味や使い方
「元(もと)」は今より前のとき、以前のこと(今はそうでないこと)、または以前の状態を表します。また、原因をさす場合、資金や原価をさす場合もあります。
- 元の同僚
- 元に戻る
- 元住んでいた家
- 元刑事
- 元の鞘(さや)に収まる(いったん仲たがいした者や離婚した者が、再び以前のような関係に戻ること)
- 元の木阿弥(もとのもくあみ。いったん良い状態になったものが、再び以前の悪い状態に戻ること)
- 元(もと、もとで)のかかる商売
- 元をとる(原価に見合う売買をすること)
他の「もと」の意味や使い方
「もと」と読む他の漢字に、「下」「許」「本」があります。
「下」
何か具体的な物体の下(した)のこと。
- 旗(はた)の下に集まる
- 青空の下で集会を開く
- 白日(はくじつ)の下にさらす(隠されていた物事を世間に公開すること)
「許」
ある人やあるものごとの支配、影響などの及ぶ所。
- 親の許を離れる
- 厳しい監視の許に置かれる
- 法の許の平等
「本(基)」
ものの付け根、根本のこと。またそのことから、ものごとの基本や基礎となる所(こちらの意味の場合、「基」と書くこともあります)。
- 茎の本を見る
- 農業は国の本(基)
- 事実を本(基)にして書かれたドラマ
「元」に一番意味合いが近く、語源も同じとされています。
その他の「もと」
- 「因」…原因。現在は「元」と書く場合が多くなっています。「酒が因で健康を損なう」
- 「素」…原料、材料。「スープの素」
「元(もと)」の類語
「元(もと)」の類語は「旧(きゅう)」「前(まえ)」「前(ぜん)」「先(さき)」です。時間的に現在より前であることの意味です。
「元」は「今」あるいは「現在」に対する言葉であり、「旧」は「新」に対する言葉で多くの場合、型の説明になります。元⇔今、現。旧⇔新です。
- 旧に復する(きゅうにふくする)
- 旧仮名遣い(きゅうかなづかい)
- 旧華族の家柄
「前(まえ)」
ある時点より早いとき。過去。
- 走る前に体をほぐす
- 前から気になっていた
- 一週間前の新聞
「前(ぜん)」
「前(まえ)」と意味は同じで、名詞や形容詞と結びついて使います。また、今に先立つ、一つ前という意味の場合、二つに分けたものの前半分の場合もあります。
- 前首相
- 前近代的
- 前半戦
「先」
時間的に早いこと。それ以前のこと。
- 先に述べたとおり
- 先の副将軍
「元(もと)」の英語
「元(もと)」の英語は、the origin、the cause(根本、原因)などがあります。
- 元首相…an ex-premier
- 元の同僚…a former colleague
- 今の大スターも元は田舎の小娘に過ぎなかった…The gureat star had originally been just a country girl.
- 読んだら元の所に戻しておいてください…Please put the book back where it was when you have finished with it.
- ここは元は荒れ地だった…This was once wasteland.
- 命はとりとめたが、元の体には戻らなかった…Though his life was saved, he never regained his former strength.
- 事件の元をたどる…trace the incident to its origin/look into the background of the case/look into the cause of the incident
- この計画は元は彼が考え出したものである…This plan originated with him.
- 失敗は成功の元…Failure is but a steppingstone to success.