「新天地でのご活躍」の意味
「新天地でのご活躍」は主に文書やメールなどの書き言葉として使われます。転勤や退職する同僚や上司、取引先の担当者に対して「転勤先や転職先で今までと同様に仕事で活躍されること」を祈るという意味で用います。
「新天地」は新たな活動をする場所のことなので、用途から考えると「転勤先・転職先」のことです。
「ご活躍」は、接頭語の「ご」を「活躍」につけることで、今まで一緒に仕事をしてきた方へ敬意を込めています。「活躍」とは、仕事などで成果や良い業績を残すことです。
「新天地でのご活躍」を使う場面
「新天地でのご活躍」は、退職や転勤などの通知が来た際の返信で使われる例が多いです。今までお世話になった感謝とねぎらいを込めて、新しい職場に赴く相手を激励する意味合いとなり、締めくくりの文章として使います。職場の同僚や上司への寄せ書き、送別会や朝礼でスピーチをする場合に用いることもあります。
社内の人に使う例
【転勤する先輩に】
入社してから5年の間、未熟な者をご指導いただきまして誠に感謝しております。
○○さんの新天地でのご活躍をお祈りしております。
【退職する上司に】
資格を生かして起業されるとのこと、新天地でのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
取引先の担当者宛てに使う例
【取引先の担当者から転勤の挨拶メールをもらった返信】
長年当社をご担当いただきまして、大変お世話になりました。何かとお力添えをいただき感謝しております。A様の新天地でのご活躍をお祈り申し上げます。
「新天地でのご活躍」続く言葉は?
「新天地のご活躍」には、祈るという言葉を続けた方が無難でしょう。「祈る」とは、心から望む、神仏に祈願するという意味です。「祈念(読み:きねん)」は、神仏に願うことを言います。
目上の方に使う場合は、「心より」や「心から」と付けて気持ちを込めることもできます。「申し上げます」と謙譲表現をするとより丁寧になるでしょう。
【使用例】
- 新天地でのご活躍をお祈りしております。
- 新天地でのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
- 新天地でのご活躍を心から祈念しております。
「新天地でのご活躍」で目上の方に避けたい表現
先述の「祈る」・「祈念」以外にも、「願う」や「期待」という語句が使えます。同期の人や親しい同僚、後輩にはあまり問題にはなりませんが、目上の方に使うには失礼な印象を与える場合があります。
「新天地でのご活躍を願っております」
「新天地でのご活躍を願っております」という使い方は間違いではありません。「願う」にも「祈る」と同様に「神仏に祈願する」という意味があります。
しかし、「願う」には他にも色々な意味があります。「望みが叶うように請求する」、「自分がして欲しいことを相手に頼んで配慮をしてもらう」などの意味でも使われます。
相手が「新しい場所で成果を残すように」と強制されているように感じ、上から目線で偉そうにと誤解されることもあります。上司や先輩、取引先の方など目上の方には使わない方が無難でしょう。
「新天地でのご活躍を期待しております」
「新天地でのご活躍を期待しております」という使い方は、上司が栄転する部下に「次の転勤先でも成果を出して頑張るんだ」と強く言い聞かせているように感じられます。
「期待」は「望みが実現するのを心から待っている」という意味です。「新しい勤務先で、相手が結果を出せるように望んで心待ちにしている」という意味合いになり、自分の気持ちを相手に押しつけていることになるでしょう。
丁寧な言い方をしていても、「期待しております」は押しつけがましい表現なので、目上の方に使うのは控えた方が良いでしょう。
「新天地でのご活躍」を使えない例
「新天地でのご活躍」は、新しい場所に行った相手の健闘を祈る意味で使われる語句ですが、使うのにふさわしくない状況もあります。主な例を2つ挙げます。
病気や怪我で仕事を続けるのが難しい場合
病気や怪我の治療や療養で退職する場合、体調面から仕事をするのが難しいという理由で辞めることになります。仕事での活躍を祈念するという言い方は失礼になるでしょう。
「ご多幸をお祈りしております。」というような、相手の今後の幸せを祈る言い方をした方が良いかもしれません。
左遷で転勤や出向する場合
転勤や出向が明らかに左遷である場合にも、「新天地でのご活躍」という言葉は適していません。自分の意に沿わずに新しい職場に出向くことになり、その場所での活躍を祈るというのは嫌みになってしまいます。
「ご健勝をお祈りいたします。」と、慣れない場所で体調を崩すことのないように、相手の健康を気遣った文章で締めくくるといいでしょう。