「おま語」とは?
「おま語」の意味
「おま語(おまご)」とは、ゲームユーザが皮肉を込めて使うネットスラングで、「お前の国にも売ってやる、ただしお前の国の言語抜きで」を省略した言葉。後で説明する「おま国」の言語に関する部分を表します。
日本製のビデオゲームが「Steam」などの海外PCゲーム配信サイトでダウンロード販売される際に、もともと日本語に対応しているゲームタイトルから日本語の音声や字幕が削除され、すべて英語に置き換わった製品しか販売されていないケースを指しています。
「おま語」の使い方
- 「RPG(ロールプレイングゲーム)がおま語だと話が分かりにくくて辛い。」
- 「おま語は日本人ユーザだけでなく、日本人キャストの声でプレイしたい海外ユーザにも評判が悪い。」
なぜ「おま語」になるのか?
なぜ、もとの日本語を削除してまで「おま語」にするのかについて、「CD PROJEKT RED」ジャパン・カントリー・マネージャーの本間覚氏が、個人のTwitterに投稿したツイートが話題になりました。
「CD PROJEKT RED」は、ワルシャワに拠点を置くポーランドのゲーム開発会社で、ゲームのダウンロード販売サービスも運営しています。
なぜあえて日本語を抜くのかという話を目にしますが、一般的に一番コストがかかるのは音声の権利料と思います。転職後は全言語のローカライズコストを比較したりもしますが、権利料においては日本が群を抜いて高額です。もちろん、日本ではそれが正当な対価だと思いますが、本社の説得が中々大変です。
— 本間 覚(フォース) (@homma_force) June 28, 2017
「おま語」とコスト
本間氏によると、日本のビデオゲームで最もコストがかかるのは音声の権利料で、他の言語へのローカライズコストと比較しても、日本語音声は群を抜いて高額だそうです。
また、アルファベットと比べて文字総数が多い日本語はフォントの使用料が高額になるため、日本語音声や字幕の搭載には、販売元の説得が大変とのことです。
一方で本間氏は、音声についても字幕についても、日本においてその金額は正当な対価であるとの見解も合わせて述べています。
近年、日本語音声、字幕が搭載されたゲームも増えてきましたが、「おま語」解消は一筋縄ではいかないようです。
「おま国」とは?
ゲームにおける「おま国」
「おま国(おまくに/おまぐに/おまこく)」とは、「お前の国には売ってやんねーよ」あるいは「売ってはいるがお前の国籍が気に入らない」の略で、リージョン制限で特定の国や地域から購入不可であることを表す言葉です。
ゲームのダウンロード販売における以下のようなケースを言い、「おま語」や「おま値」もこれに含まれます。
- 日本から購入できない
- 価格が海外と比べて高い=「おま値」
- 日本語がサポートされていない=「おま語」
ゲーム以外の「おま国」
ゲームから派生した「おま国」ですが、ゲーム以外で使われる場面に、次のような例があります。2012年に日本版のKindleストアがオープンした時、日本国内から購入する場合に限って、Kindleのラインナップに含まれる洋書がAmazonで値上げされました。
また、Youtubeにおいても、「このコンテンツはお住まいの地域ではご覧になることができません」と表示されて閲覧できない場合があります。これはコンテンツ提供者側で、特定の地域以外での配信を許可していないからです。
「おま国」への対応
ゲームにおいて、「おま国」を実施している多くは日本の会社なのですが、その一方で、「おま国はよくない」として、全世界のゲームユーザに対して積極的にダウンロード配信を行っている日本企業もあります。
「おま語」の関連語
「おま県」
「おま語」、「おま国」から派生したものの、ゲームと関係のない言葉として、「おま県(おまけん)」という言葉があります。
これは「お前の県では放送してやんねーよ」の略で、TV番組で「一部の地域を除く」の「一部」に含まれて視聴できないケースを指します。また、地元の映画館で見たい作品が上映されないケースを指すこともあります。
「おま値」
「おま値(おまね)」とは、「お前の国にも売ってやる、ただし割高な値段で 」の略で、販売こそされているものの、日本の価格が他国に比べて著しく割高な製品を揶揄するネットスラングです。「おま国」の中から値段に限定したケースを指します。
ただし、物価の違いや為替レート、ローカライズや移植にかかる費用の問題もあり、多少の価格差は許容範囲とされています。