鬼の霍乱の意味とは
鬼の霍乱とは、普段非常に丈夫で健康な人が、珍しく病気にかかることのたとえです。鬼は強くて病気など掛からないほど丈夫、そんな鬼が病気になるとは珍しくもあり、ちょっと微笑ましくもあります。
皆さんの周りにも、健康でいつもバリバリと精力的に動いている人はいませんか。そんな人が風邪をひいて休んでいる、と聞いたなら「えーっ、珍しい!あの人が風邪をひくなんて・・」と話題になりませんか。このような気持ちも込めて、使えることわざですね。
鬼が意味することは
鬼の本来の意味は、想像上の怪物を指しており、
- ①人間の姿をしていて
- ②口は耳まで裂け
- ③鋭い牙を持ち
- ④頭に牛の角があり
- ⑤裸で虎の皮のふんどしを締め
- ⑥性質が荒々しいもの
というものでしょう。
しかし、ことわざ「鬼の霍乱」でいう「鬼」とは、上記のような鬼ではなく、現代において病気からに無縁な人を鬼に例えており、一例をあげれば
- 荒々しく恐るべき人
- また強くこわい人
- 健康に気を遣って筋トレやスポーツに毎日励んでいる人
- 何かに精力的に働いている人
などが、ここでいう「鬼」の例えの対象になると言えるでしょう。
霍乱の意味とは
霍乱とは、日射病や暑気あたりのことです。中国医学で使われていた病名ですが、どちらも夏の病気だと分かります。
馴染みのある「鬼」比べると、「霍乱」はあまり使う機会がない言葉ですよね。
なお、霍乱のアクセントは、以前は”ク”を強調していたようですが、今は”クラン”の部分を強調して発音しています。また、「攪乱」とは読みは同じでも意味がまったく異なるので漢字の変換で間違わないようにしましょう。
鬼の霍乱の使い方とNG
鬼の霍乱を、会話の中で使ってみましょう。裸で虎の皮のふんどしを締めた鬼が、日射病になるとは珍しいことですが、特に夏の病気に限定はされていません。
例)
「風邪をひいたことのない母が今朝から熱を出して寝込んでいるとは、まさしく鬼の霍乱だ」
このように、風邪などの比較的軽い病気で使うと良いでしょう。ただし、入院をするほどの重病に掛かった場合に使うのはNGになりますから注意しましょう。
鬼を使った慣用句
「鬼の霍乱」以外にも鬼を使った慣用句は意外と多くあり、想像上の怪物であるはずの鬼は、私たちの生活に古くから密着していた存在だったよことがうかがえます。また、「鬼ごっこ」や「仕事の鬼」など、鬼が入る言葉もたくさんあります。
鬼が出てくる昔話もたくさんありますね。有名な桃太郎の鬼退治は、皆さんも一度は読んだことがあるのではないでしょうか。
鬼に金棒
強い鬼が金棒を持っている様子から、もともと強いものが、一層強くなることの例えです。
鬼が出るか蛇が出るか
次に起こる事態がどのよなものか、予想がつかないという意味です。イチかバチかという状況で鬼が出ても蛇が出ても、良い結果とは思えないですが、洒落た面白い慣用句ですね。
鬼の首を取ったよう
大手柄をたてたように得意になる様子を意味しています。大したことではないのに、得意げになる人を揶揄した慣用句です。
鬼の居ぬ間に洗濯
気兼ねしたり、恐れたりする人がいない間に十分くつろぐ様子を意味しています。よくドラマなどで、御姑さんが留守にしている間のお嫁さんが使うことが多いので、聞いたことがあるのではないでしょうか。
来年の事を言えば鬼が笑う
先の事を言うと、笑わない鬼でも笑うほど可笑しいことの例えです。来年とは、本来の意味ではなくて遠い未来のことに例えていますが、出来もしないような大きな目標にも例えるて使う場合もあります。
その他の「鬼」に関する言葉
名詞の上に鬼を付けると、さらに色々な意味を表現出来ます。勇猛・無慈悲・異形・巨大などを表現しますが、皆さんは何か思いつく言葉はありますか。
- 「鬼将軍」
- 「鬼婆」
- 「鬼蜘蛛」
- 「鬼やんま」
- 「鬼百合」