「足元を見る」とは?意味や使い方をご紹介

皆さんは「足元を見る」という慣用句をご存じでしょうか。「足や靴に目をやる」行為そのものを意味するのではありません。じつは、人の「狡(ずる)さ」を表す言葉なのです。この記事では、「足元を見る」の意味やその語源、正しい使い方についてご紹介します。

目次

  1. 「足元を見る」とは
  2. 「足元を見る」の語源
  3. 「足元を見る」の例文と使い方
  4. 「足元」を使った言葉

「足元を見る」とは

皆さんにもひとつやふたつ、他人に悟られたくないような弱点があるのではないでしょうか。「足元を見る」とは、「相手の弱みにつけ込む・見透かす」という意味の慣用句です。

「足元」という言葉を辞書で引くと、いくつもの意味が載っています。そのなかで「足元を見る」という慣用句の場合は、「弱み」「苦境」「差し迫った状況」といった意味が該当します。

なお、「足元」には「足下」「足許」という漢字が当てられることもあります。

「足元を見る」の語源

「足元を見る」という表現が生まれた由来をご紹介しましょう。

江戸時代の交通手段

現代では、電車やバス、タクシーや飛行機など、さまざまな交通手段があります。しかし、江戸時代は「馬」「駕籠(かご)」「舟」といったものしかありませんでした。
 

  • :馬と言えば、競馬の競走馬のような力強く速いものを想像するかもしれません。しかし、この時代の馬は小さく短足だったため、あまり速く走ることはできませんでした。また、長時間の乗馬も体に負担がかかるものでした。
 
  • 駕籠:時代劇などでもよく目にする駕籠は、客を乗せた木製の箱を長い棒で吊るし、前後二名で担いで運ぶ乗り物です。身分の高い人が利用する駕籠の出入り口には引き戸がついていました。
 
  • :舟(船)の説明は不要でしょうが、昔は現代と比較にならないぐらい、荷物を運ぶにも庶民の足としても、小型の舟が活用されていました。江戸時代には「弁才船(べざいせん)」と呼ばれる和船が普及したことが知られています。

旅人の弱みにつけ込んだ商人

上記の交通手段に携わる人たちのことを、それぞれ「馬方(うまかた)」「駕籠かき」「船頭(せんどう)」といいましたが、なかには稼ぎを増やすためにあくどいことをする者もいました。

街道筋(かいどうすじ:街道の道筋)や「宿場(しゅくば:旅行者が宿泊や休息、馬の乗り継ぎをした場所)」で、彼らは客から運賃を取ります。旅人を乗せる際、その人の疲れ具合などを見て、法外な料金を要求をすることがありました。

旅人は、無理な要求でも、疲労から仕方なく了承してしまうこともありました。旅人の疲労とはすなわち足の疲れです。ここから、人の弱みにつけ込むことを「足元を見る」というようになったのです。

「足元を見る」の例文と使い方

  • 意地悪な上司は、私が金欠なのを知って、辛い仕事ばかり押しつける。足元を見られている
  • 友人は「嫌だ」と断れない性格なので、足元を見られて色々な人に利用されてしまう。
  • 取引でこちらの足元を見るような条件を出され、その会社への信用がなくなった。

このように、「足元を見る」は、相手の都合のいいように扱われ、見下されたと感じた時に主に使います。自分が相手を見下す場合にはあまり使われません。

「足元を見る」側は、相手の弱点を理解した上で、自分が得をするように動きます。「足元を見られる」側は弱みを握られているので、泣く泣く従うことが多いのではないでしょうか。

「足元」を使った言葉

「足元を見られる」ような状況には、できるだけ遭いたくないものですね。最後に、「足元」を使った他の表現もいくつかご紹介しておきます。
 

  • 足元にも及ばない

「相手があまりにも優れていて比べ物にならない」という意味です。「先輩の天才的な演奏を聴くと、私なんて足元にも及ばない」など、レベルが違い過ぎて勝負にならないことを表します。

 

  • 足元から鳥が立つ

「身辺で意外なことが起きる」「急に思い立って物事を始める」という意味を表します。人間が近づくと、鳥があわてて飛び立つように、身近なところで慌ただしく物事が起こるさまを表現したことわざです。

 

  • 足元の明るい中(うち)
「日が暮れないうち」という意味が本来のものですが、転じて「状況が不利にならないうち」という意味でも使われるようになりました。

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