「昔取った杵柄」とは?意味や使い方をご紹介

「昔取った杵柄(むかしとったきねづか)」は、「過去に鍛えた技能」や「若い頃に身につけた腕前」を意味する言葉です。年配の人や経験のある人に対して、主に良い意味で用いられます。ここではその意味や用法、そして類語について解説します

目次

  1. 「昔取った杵柄」とは
  2. 「昔取った杵柄」の用法
  3. 注意点
  4. 「昔取った杵柄」の類語
  5. 「昔取った杵柄」の反意語

「昔取った杵柄」とは

「杵柄」とは

まずは語意から見ていきましょう。「杵柄(きねづか)」とは、おもちつきなどに用いる「杵(きね)」の柄(え/つか:持ち手のこと)の部分を言います。

「昔取った」とは

ここで言う「昔取った」とは、「かつて使ったことがある」、「以前に握ったことがある」という意味になります。そのため「昔取った杵柄」の言葉通りの意味は、「かつて使った杵の柄」「以前に握ったことのある杵の柄」ということになります。

もちろん「昔取った杵柄」という言葉は、わざわざ限定された一本の杵柄のことを言うために生み出された言葉ではありません。そこには成句としての意味があります。

「昔取った杵柄」の意味

以前、杵を振るっておもちをついた経験があれば、次につくときにもそれほど苦労せずにつくことができるでしょう。そのことから転じて、「昔取った杵柄」の成句としての意味は、「過去に鍛えた技能」となります

また、一度身体で覚えた技能というのは、年月を経てもなかなか忘れないものです。そのため「昔取った杵柄」には、「若い頃に身につけた腕前」という意味もあります

「昔取った杵柄」の用法

「昔取った杵柄」は、例えば「彼を草野球に誘ってみたらえらくいい球を投げる。聞いてみたら少年野球でエースだったらしい。昔取った杵柄だね」といった風に使います。

また「君は字が綺麗だね」と言われたのに対し、「大したことないです。子供の時に少し習字をやっていただけですよ。昔取った杵柄です」という風に謙遜してみせるのにも使えます。

さらには「私は昔バレエを習っていたのよ」と言っている老人に対して、「通りで、身のこなしが軽やかだと思いましたよ。まさしく昔取った杵柄ですね」とヨイショすることもできます。

注意点

「昔取った杵柄」を使う際の注意点としては、聞く人によっては侮蔑や冷笑の意味に捉えてしまうかもしれないということです。

例えば「俺は昔から活動家だったんだ。まだまだ若い者には負けん」などと言っている老人に対し「そうですか、昔取った杵柄ですね。頑張ってください」と言ったのでは、嫌味の意味に捉えられ、相手の怒りを買ってしまうかもしれません。

どうしても年齢や、歳月の経過を感じさせる言葉なので、相手が自分より高齢の場合には使うのを控えた方が無難かもしれません。

「昔取った杵柄」の類語

ここでは、「昔取った杵柄」の類語を紹介します。どちらかといえば良い意味での言葉が多くなります。

「熟練」「老練」

「熟練」や「老練」は、「多くの経験を積んで、熟達していること」であり「物事に慣れ、技術やかけひきが巧みであること」です。他に「古参」「玄人」「古豪」といった言葉も、経験に裏打ちされた技能を持つ人という意味に使われています。

「年季が入る」

「年季が入る」は「長年修練を積んで、確かな技能を持っている」という意味です。上の「熟練」や「老練」にも言えることですが、「昔取った杵柄」が多かれ少なかれのブランクを感じさせる言葉であるのに対し、「年季が入る」は、絶え間なく修練を積んできた様子を感じさせます。

「亀の甲より年の劫」

「亀の甲より年の劫(功)」は「長年の経験がなによりも貴重なものである」という意味の慣用句です。「劫」とは「極めて長い時間」という意味であり、「亀の甲(甲羅)」は「こう」という音が共通しているために引き合いに出されただけのようです。

「昔取った杵柄」の反意語

ここで扱う反意語は、経験が仇となってかえって害になる場合に使われる言葉です。老人を揶揄したり冷笑したりする言葉になりますので、使用の際は注意してください。

「年寄りの冷や水」

「年寄りの冷や水」は、今にも心臓麻痺を起こしそうな老人が自ら冷たい水を浴びるような、「年齢に不相応な振る舞い」を揶揄したり警告したりする言葉です。危険な行為や健康によくないことばかりではなく、若い人との交際や不倫などの際に言われることもあるようです。

「老害」

「老害」は読んで字のごとく、「老いた人物による弊害」を指す言葉です。特に会社などの組織において、年配の構成員が会長などの要職に留まり続けることで、若手の台頭が直接・間接的に阻害されることを言います。

目下、少子高齢化の著しい日本では、この「老害」を無用のものとして切り捨てるか、「昔取った杵柄」として活躍を促すかが、表裏一体の問題となっています。

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