「とどのつまり」とは?意味や使い方を由来を含めてご紹介

「とどのつまり」という表現をご存じですか?「とど」とは哺乳類のトドではなく、魚の「ボラ」の異名です。でも、なぜ「ボラ」が慣用句に使われているのでしょうか。本記事では、「とどのつまり」の意味や使い方、言葉の由来などについて解説します。

目次

  1. 「とどのつまり」の由来
  2. 「とどのつまり」の意味
  3. 「とどのつまり」の例文
  4. 「とどのつまり」の類義表現
  5. ボラに関連した言葉
  6. 「とどのつまり」のまとめ

「とどのつまり」の由来

「とどのつまり」は慣用句です。言葉の意味をご説明する前に、まずはその由来からご紹介しましょう。

「とどのつまり」の「とど」とは、アシカの仲間のトドではなく、魚のボラ、それも最も成長した段階のボラを指す呼称です。ボラはスズキやブリと同様「出世魚」と呼ばれています。出世魚とは、成長するにつれ呼び名が変わる魚のことです。

現代と違って、昔の日本には、成長や出世にともなって名前を変える習わしがありました。豊臣秀吉を例に取ると、「日吉丸→木下藤吉郎→木下秀吉→羽柴秀吉→藤原秀吉→豊臣秀吉」。こんな感じです。

一方、魚の場合は、成長するにつれて大きさや味わいが変わる種を、段階に応じて名前を変えて区別したのです。これを上記の改名の風習になぞらえたのが、「出世魚」という呼び名の語源というわけです。

ボラの「出世」と「とどのつまり」

地域によって多少の違いがありますが、一般的にボラは成長にともなうサイズによって呼び名が変わります。小さいものから順に、ハク→オボコ→スバシリ→イナ→ボラとなり、50センチ以上の最終形が「トド」です。

このように、トドにはそれ以上先がありませんから、「とど」の「詰まり」=「とどのつまり」という表現が生まれたという説が有力です。

なお、異説として、「とど」は「止(とど)め」の意で、これに「詰まり」を付けたのが「とどのつまり」であり、魚の成長と直接の関係はないとする意見もあります(ただし魚の「とど」の語源も「止」だという説もあります)。

「とどのつまり」の意味

さて、こうして出来上がった「とどのつまり」という慣用句には、次のような意味があります。

 

  • 結局
  • 最終的には
  • 行き着くところ

いろいろやってみたけれど、あるいは、いろいろあったが、結果的には……といった状況で用いられる表現で、多くの場合、良くない結果が生じた際に使われます

「とどのつまり」の例文

  • さんざん努力してみたが、とどのつまりは疲れただけだった。
  • とどのつまり、その事件は迷宮入りってことなんだね。
  • 嘘ばかり言っていたら、とどのつまりが誰からも相手にされなくなった。

「とどのつまり」の類義表現

意味の項でも記載した「結局」「最終的には」「行き着くところ」のほかにも、「とどのつまり」と同様のニュアンスを持つ日本語表現は、「つまるところ」「挙句の果て」「畢竟(ひっきょう)」「差し詰め」「帰するところ」など数多くあります。

一方、英語でも「in the end」「finally」「ultimately」のように同義表現はいくつもあります。

「とどのつまり」以下、いずれも紆余曲折あった末の「結果」に対する前置きといえますが、これらのすべてが「良くない結果」のみを表す際に用いられるわけではありませんので、その点はご注意ください。

ボラに関連した言葉

「とどのつまり」の他にも、ボラの関連語がありますのでご紹介します。

いなせ

「いなせ」という言葉は、演歌の歌詞などで見聞きしたことがあるかもしれませんね。「格好いい」「男気がある」「颯爽としている」といった様子を表した誉め言葉です。

出世魚の説明でもご紹介したとおり、「いな(鯔)」は「とど」になる前のボラの呼び名、「いなせ(鯔背)」とはボラの背中のことです。

江戸時代、日本橋の魚河岸で働いていた若者たちの間で流行した髪型がありました。鯔背銀杏(いなせいちょう)といって、髷(まげ)の形がボラの背中に似ていることから名づけられたといいます。鯔背銀杏に結った魚河岸の若者たちのような、威勢のいい、粋な男性のことを「いなせ」と表現するようになったようです。 

おぼこ

「おぼこ娘」などというように、世間慣れしていない者や、幼稚で初々しい者、あるいは生娘のことなどを「おぼこ」といい、西日本の方言では「おぼこい」という使い方もされます。

「おぼこ」はボラの幼名でもありますが、語源は「うぶこ(産子)」と考えられ、ボラから発生した言葉ではありません。

「とどのつまり」のまとめ

ご説明したように「とどのつまり」はあまりいいニュアンスで用いられる表現ではないことがわかりました。「出世魚」が由来なら、ポジティブな意味で使われてもよさそうですよね。

人間にはボラの名前ような「詰まり」はありませんから、「とどのつまり」とならないよう、一生成長しつづけるよう努めたいものです。

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